オリックスの宗佑磨、ミス挽回の本”涙”打


精神的成長の証し同点2ラン、ロッテを破りCS進出決定

オリックスの宗佑磨、ミス挽回の本"涙"打

8回、同点の2点本塁打を放つオリックスの宗=12日、京セラドーム

 ダイヤモンドを一周し、ベンチに戻ったオリックスの宗がタオルで涙を拭った。「1、2打席目、チャンスで凡退して。とにかく悔しくて…」。序盤に2度の併殺打。流れをロッテに渡し「俺のせいだ」と自分を責めたが、挽回の一打を放った。

 2点を追う八回2死一塁。相手は七回まで全く隙を見せなかった左腕の小島だった。初球の真っすぐ。無心でバットを振った。「(ミスを)ずっと引きずっていたが、開き直った。やるしかないんで」。右翼へ値千金の同点2ラン。追い詰められていたチームも生き返った。

 宗の成長が今季躍進の一因と言ってもいい。積極的な打撃や三塁の堅守に加え、リーダーの自覚も備わってきた。投手が苦しく、間が欲しい時にさっとマウンドに駆け寄る場面が目立つ。25歳。「僕も若いと言っている年齢じゃない。引っ張っていかないと」。ミス帳消しの一打も、精神的な成長の証しだ。

 2位ロッテとの天王山初戦。劣勢から引き分けに持ち込んだのは大きい。7年ぶりのCS進出も決まったが、見据えるのは25年ぶりの頂点だけ。主役は「勝ちたかったが、負けなかったのはよかった。というか、ほっとした」。実感がこもった。