元稀勢の里の荒磯親方が独立、弟子に熱意注入


田子ノ浦部屋から独立、新米師匠として地元の茨城県で始動

元稀勢の里の荒磯親方が独立、弟子に熱意注入

稽古場でポーズを取る荒磯親方(後列右)と弟子の力士ら(日本相撲協会提供)

 大相撲の荒磯親方(35)が8月に田子ノ浦部屋から独立し、故郷の茨城県で始動した。先の秋場所には4人の弟子が出場。9月末に引退した白鵬らと名勝負を繰り広げた元横綱稀勢の里が、師匠として本格的に船出した。

 阿見町に来年新しい部屋が完成するまでは、つくば市にある筑波大の敷地内で仮住まい。序二段の谷口(16)は「部屋の人数が少なくてやることが多いが、寝る所が広くていい」と笑う。自然に恵まれた環境も好評だ。

 部屋の番付最上位は西序二段36枚目の西原(18)。兵庫・報徳学園高出身で、憧れの稀勢の里が得意だった左おっつけを小学生の頃から磨いてきた。秋場所ではデビューから3場所続けて勝ち越し、「環境がすごく整っているし、弟子に対する師匠の熱意を感じる」。

 西原は自分の脚が「入門してから倍ぐらい太くなった」と驚く。荒磯親方は「反復する稽古が横綱に上がるきっかけになった。土台がないと伸びしろが出ない」との思いがあり、稽古時間の大半を基礎運動に割いている。

 単調になりがちな基礎運動にも一工夫。すり足では、弟子の体格や取り口に応じて足の角度などを変えさせる。「一人ひとりが個性を出せるようにしたい」との信念があり、「オーダーメード」のきめ細やかな指導が特長だ。

 自ら早大大学院でも学び、来年完成予定の部屋には二つの土俵を設けるなど、進取の気性に富んだ荒磯親方。「強くて愛される力士を育てる」という目標に向かって発奮している。