緊急事態解除初日の飲食店「闘いはこれから」
待ちわびた営業再開もにぎわい遠く、店主ら「まだ手探り」
緊急事態宣言が全面解除された1日、飲食店での酒類提供が認められた東京、大阪、福岡。待ちわびた営業再開だが、かつてのにぎわいからは遠く、店主らからは「闘いはこれから」「まだ手探り」との声が上がった。
台風の影響で朝から雨となった東京・新橋。同僚と店を訪れた会社員の男性(26)は「4月に上京してから初めての飲み会」と顔をほころばせたが、空席も目立った。
居酒屋「根室食堂」店長の平山徳治さん(49)は数カ月ぶりにビールを仕入れ、「これからが闘いだ」と気を引き締める。予約は予想を下回ったものの、「10月中旬から立て続けに入ってきている」とほっとした様子。ただ「宣言解除は急だった」と苦言も。人手不足からメニューを50品から15品に絞らざるを得ず、「長引く自粛要請で骨と皮だけになってしまった」と話した。
中央区京橋の酒問屋には解除公表の翌日から注文が舞い込んだ。担当者は「一時はどうなってしまうかと思ったが、うれしい」と喜ぶ。とはいえ注文は少なく、「店も手探り状況」と話した。
大阪・道頓堀。宣言中、休業していた海鮮居酒屋の男性店長(56)は「お酒が出せなかったら、お客さんも楽しくないからね」と笑顔を見せた。韓国料理店の女性店長(62)は「売り上げが伸びるのはうれしいけど、これでまた感染が急拡大したらお店は厳しい」と不安を募らせた。「もう少し様子見したかった」と言う客もおり、たこ焼き店の店員は「人通りは変わらない」とこぼした。
福岡市の繁華街、中洲では名物の屋台に明かりがともった。焼きラーメンが人気の「伸龍」店主、畠ゆきさんは2カ月ぶりに営業再開した。宣言中は市内ほぼ全ての屋台が休業。畠さんがようやく第三者認証調査を受けたのは9月30日夜だった。「認証店だと自信を持って営業できる。お客さんに安心してもらえたら」とほほ笑んだ。
通りに軒を連ねる屋台は満席になったが、出店は以前の半数以下。出歩く人の姿も少なかった。