企業や自治体、コロナ自宅療養者に食料支援
弁当など提供、「おいしかった」利用者から感謝広がる
新型コロナウイルスの自宅療養者向けに、無料の食料支援を始める企業などが増えている。患者や濃厚接触者となった家族は外出自粛を余儀なくされ、食料が尽きかけるケースも。「食料が手元にある安心を届けたい」と採算度外視で取り組む動きに、利用者からは感謝の声が上がる。
休日や夜間の救急往診を展開するベンチャー企業「ファストドクター」(東京都新宿区)は14日から、東京23区内の自宅療養者向けに無料の食料配達サービスを始めた。医師が往診する際、おかゆやゼリー、お茶といった2~3日分の食料を届ける。
代表取締役の菊池亮医師(35)が、自宅療養中の患者から「食料がなくなりそうで困っている」と聞いたのがきっかけ。同社と提携する伊藤忠商事が取引先の食品メーカーなどに呼び掛けたことで賛同の輪が広がり、食料品の無償提供が可能になったという。菊池医師は「医療だけでなく、食料が手元にあるという生活の安心感も提供したい」と話した。
自治体が地元企業と協力し、こうした食料提供サービスを手掛けるケースも各地に広がる。大阪府寝屋川市は市内の配達弁当店に委託し、毎日3食分の弁当やパンなどを自宅療養者に届けるサービスを提供。市保健所へ注文すれば同社に発注される仕組みで、費用は国と市が負担するため、無料で利用できる。
配達に訪れると、玄関に利用者から感謝の手紙が置かれていることも多いという。中には「たつたあげ、おいしかったよ」と書かれたあどけない手紙もあり、店長の杉原充さん(56)は「とても励みになります」と声を弾ませた。