高級国産車を狙う窃盗、新たな手口にご用心
車載システムに不正アクセスしロック解除、防ぐ方法なし
高級国産車を狙う新たな窃盗の手口が関東や東海、関西などで広がっている。車載システムに不正アクセスし、ドアロックを解除して4分ほどで盗むことが可能で、現在防ぐ方法はないといい、各地の警察や関係者が注意を呼び掛けている。
自動車窃盗の被害件数が8月末時点で千葉県に次いで全国ワースト2の愛知県。同県警によると、1~8月、県内の自動車盗の認知件数は約480件で、被害額は約17億円に上る。盗難車の約35%がトヨタ自動車の「レクサスLX」と「ランドクルーザー」で、被害額を大きく押し上げた。
新たな手口は「CANインベーダー」と呼ばれ、車のフロントバンパーを外し、車側に付いている端子に不正な小型機器をコードで接続。機器から信号を発信し、ドア施錠やエンジンなどを統合的に制御するシステムに不正アクセスし、ドアロックを解除する。2019年ごろから広まり始めたとみられる。
愛知県岡崎市のカーセキュリティー専門店「プロテクタ愛知本店」の従業員上條洋さん(52)は「4分あれば、ドアロックを解除し、エンジンを始動させて盗むことができる」と警鐘を鳴らす。
兵庫など3県警は8月、不正に車を数台盗んだとして、会社員の男(38)らを逮捕するなどし、捜査を終結したと発表。この新しい手口による事件の初摘発で、兵庫県警は押収した小型機器の解析を進める。
上條さんによると、今はこの手口を防ぐ手だてはないといい、「購入時に装備されているアラームなどは無効化されてしまう。別の防犯装置の取り付けも必要」と注意を促している。