動物園水族館が注力、オンラインで動物を身近に


コロナ禍で動画配信に活路、収益化やPRに手応えも

動物園水族館が注力、オンラインで動物を身近に

ライブ配信の投げ銭機能を使った桂浜水族館のオンライン餌やり(ユーチューブより)

動物園水族館が注力、オンラインで動物を身近に

ノースサファリサッポロがユーチューブで公開した、トラに「ちゅーる」(猫の餌)をあげる動画(同園提供)

 新型コロナウイルスによる外出自粛が続く中でも動物を身近に感じてもらおうと、水族館や動物園が試行錯誤しながら動画配信に注力している。ユーチューバー顔負けの刺激的な企画や、ライブ配信で餌やりの指名を受け付ける取り組みも。厳しい経営環境の中、職員らは新たな収益源やPRにつながると手応えを感じている。

 「ネコ科のトラに『ちゅーる』(猫の餌)をあげたら?」「狂ったようにザリガニをむさぼるカワウソ」。札幌市にある動物園のノースサファリサッポロは、視聴者をハラハラさせる企画などで、動物の生態に迫る。新型コロナの影響で来園者が例年の約6割に落ち込む中、昨年5月に始めたユーチューブで公開した動画は延べ約350本。登録者数約17万人の人気チャンネルだ。

 配信収入は多い月で約100万円。運営を支えるほどではないが、梅沢悠介営業部統括部長は「広告と違い、興味がある人が視聴する」と抜群の宣伝効果を強調する。企画・出演担当の職員森美沙子さん(32)は「『楽しかった』というコメントが何よりうれしい。外出できない心を補うものになってほしい」と話す。

 高知市の桂浜水族館は昨春、ライブ配信中に寄付を受け付ける「投げ銭機能」を導入した。視聴者がオンライン上で任意の金額を払って動物を指名すると、飼育員が餌を与える仕組み。1時間弱の配信で10万円が集まることもあるという。

 飼育員と会話し、質問もできるのが魅力で、お目当ての飼育員宛てに投げ銭をするファンも。職員の丸野貴也さん(27)は「動物を知ってもらえ、お金にもなる。配信で飼育員が身近な存在になれば」と願う。

 大分市の大分マリーンパレス水族館などは7月、オンラインで飼育員の有料講義や貸し切りショーなどを体験できるサイト「日本デジタル水族館」を開設した。これまでに、企業の依頼で、国内外の社員向け貸し切りツアーを開催。魚が泳ぐ姿をホテルのロビーに映したいという依頼なども届き始めた。

 他の水族館にもコンテンツ掲載を呼び掛けており、担当者は「水族館をデジタルで楽しんでもらえるかは工夫次第。新たなビジネスチャンスだ」と意気込んでいる。