新型コロナ行動制限が緩和、行楽シーズン控え
観光業界に高まる期待、理解示す病院も再度制限に不安
社会・経済活動の再開に向け、政府は9日、ワクチン接種などを条件に、県をまたぐ移動や飲食店での酒類提供を容認していく方針を決めた。秋の行楽シーズンを前に、観光業界は「お客さんが遠方から来やすくなる」と歓迎。新規感染者の減少が続く東京都内の病院関係者も「議論するのは大事なこと」と理解を示した。
秋の紅葉が人気の観光都市、京都市。「京都プラザホテル」の支配人清水洋平さん(33)は「観光客や修学旅行客が来やすくなる。書き入れ時の紅葉シーズンに期待ができる」と喜んだ。売り上げや稼働率が新型コロナウイルス流行前の約4割に落ち込む中、「大きな効果がある」と客足の回復に期待を寄せた。
「正直、遅い。このままだと京都の街が死んでしまう」と早期の行動緩和を求めるのは、清水寺付近の参道で約200年続く土産物店「瓢箪(ひょうたん)屋」の7代目当主、大井秀民さん(68)。「ワクチン接種済みの人だけに絞るのは難しいのではないか」と不安も漏らした。
東京・新橋の居酒屋店員(54)は「制限を緩和しても、すぐにまた感染者が増加して強化するのではないか」と冷めた様子だった。
立川相互病院(東京都立川市)の増子基志事務長(46)は「これからに向けた議論は大事だ」と政府方針に理解を示す。新型コロナ患者向けの病床40床が8月はフル稼働だったが、9月は感染者が減少し、余裕が生まれるようになったという。ワクチンを打てない体質の人もおり、「未接種者の差別にならないよう、丁寧な説明が必要だ」と語った。