サッカーW杯予選、TVから消えたアウェー戦
放映権高騰で転機、ネット動画配信「DAZN」のみに
今月始まったサッカーの2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会アジア最終予選で、日本のアウェー戦が地上波などでのテレビ中継から消えた。主催のアジア・サッカー連盟(AFC)がインターネット動画配信「DAZN」と長期放映権契約を締結。視聴はオンラインのみになった。
AFCは05年から本格的に放映権ビジネスに着手した。当時テレビ朝日が4年90億円で放映権を購入。価格が高騰する中で4年契約が3度更新されたが、昨年の契約切れに伴い、AFCから8年2000億円超とされる新たな条件を提示されたという。再契約は見送られ、資金力を持つDAZNが放映権を獲得した。
テレビ局は莫大(ばくだい)な放映権料の見返りに、キックオフ時間などの意向を反映できるが、アウェー戦は時差の関係で開始時間が深夜や早朝になることもあり、CMなどの広告収入で採算が取れない。DAZNは放送時間帯を問わず、いつでも視聴できるオンデマンド配信もある。今回の契約で加入者が増えれば、配信ビジネスで存在感が増すかもしれない。
日本サッカー協会などによると、W杯予選の日本戦は1989年6月25日のイタリア大会アジア1次予選でアウェーの北朝鮮戦が放送されなかった例があるが、極めてまれなこと。田嶋幸三会長は「代表の試合に関してはどなたでも見られる環境であるべきだ。私としては非常に不本意な結果」と述べた。テレビ局が放映しないのは、とりあえずアウェー戦だけだが中継の担い手はいずれ交代していくのか、転機を迎えつつある。