リオ金ゼロを反省、実力蓄えた日本勢の5年間


金メダルは13に、コロナ禍や自国開催の重圧はねのける

リオ金ゼロを反省、実力蓄えた日本勢の5年間

車いすテニスで獲得したメダルを手に笑顔を見せる(右から)上地結衣、国枝慎吾、大谷桃子=4日、有明テニスの森公園

 日本は金メダルを13個まで積み上げた。金ゼロに終わった前回リオデジャネイロ大会の反省を生かせたことが大きい。

 5年前は金の候補が銀にとどまった。代表格は競泳男子の木村敬一(東京ガス)。銀二つと銅二つでは納得できず、米国留学を決断。自ら行き先を探すところから始め、異国の地で重ねた経験が、自国開催でさらに増した重圧の中でも打ち勝つたくましさにつながった。種目を三つに絞り、本命とそれ以外でメリハリをつけたこともプラスになった。

 リオ大会の陸上銀メダリスト、佐藤友祈(モリサワ)と道下美里(三井住友海上)は、さらに力を伸ばし、この数年で世界記録保持者になった。一段上を目指した努力の継続がメダルの色を変えたといえる。

 新型コロナ禍でさまざまな国際大会が中止になったことを逆手に、強化に結び付けた選手もいる。車いすテニス男子の国枝慎吾(ユニクロ)は、同じ練習拠点で活動する健常の選手とラリーをする機会を持った。

 テンポの速いテニスにすぐ息が上がるほど厳しい内容になったが、ツアー転戦の合間ではできない取り組み。国枝のコーチを務める岩見亮さんは「(この練習で)ボールの威力に慣れることができた」。新競技のバドミントンの代表選手も、全日本総合選手権ベスト16クラスの健常者を相手にラリーを重ねた。

 今大会得た銀メダルは15個、銅は23個だった。表彰台に上がった選手は、金の尊さと自分との距離感を肌身に感じたことだろう。その経験こそが、自らのメダルを最も輝く色に変える第一歩になる。