障害者スポーツ、パラリンピックで裾野広がるか


注目集めるも残る課題、金銭面や指導者の負担が大きく

障害者スポーツ、パラリンピックで裾野広がるか

東京パラリンピックの閉会式=5日、国立競技場

 東京パラリンピックを機に注目を集めた障害者スポーツ。競技環境は改善されつつあるが、選手の経済的負担や指導者の確保など課題は依然多い。関係者は「未来へ裾野を広げるための取り組みが重要だ」と訴える。

 スポーツ庁の2020年の調査では、週1回以上スポーツする障害者の割合は、成人が24・9%で、招致が決まった13年(18・2%)から増加した。一方、7~19歳は低下傾向が続き、13年の30・7%から27・9%に下がった。

 「パラスポーツを始めるハードルは高い」と話すのは、多くのパラアスリートの義足を担当する義肢装具士斎藤拓さん。競技用の義足や車いすは安いものでも数十万円といい、生活用車いすなどと違い保険適用などの補助は原則ない。スポーツ目的で手話通訳や視覚障害者のガイドを雇う場合も同様だ。

 斎藤さんは数年前から、スポーツ義足の体験会や無料貸し出しに取り組んでいる。中古だが、全て代表選手が使用した一級品。「走る喜びを知らないと始める人も増えない。子供は成長でサイズが変わる分、より負担も重い。少しでも機会を提供したい」と意気込む。

 指導者や補助者の確保も課題だ。選手らでつくる日本パラリンピアンズ協会によると、企業の支援を受ける選手は約7割まで増えたが、コーチやスタッフは約6割が無報酬。他の仕事で生計を立てながら指導に取り組む。陸上・高田千明選手の指導や伴走者を務める大森盛一さんは「週5回ほぼボランティアでやっている。パラの指導者を目指す元選手らが対価を得られる仕組みがないと、いずれ成り手がいなくなる」と危機感を抱く。

 日本体育大でパラ陸上を指導する水野洋子監督が懸念するのは「選手の人生設計」だ。同大は日本財団の支援でパラアスリートの奨学金を創設。兎沢朋美選手は、この制度を知ってパラを志し、見事に出場を果たした。

 水野さんは、就職や競技をメインとしたアスリート採用で金銭面が安定してから、本格的な練習を始める選手が多いとし、「若年層からの発掘、強化は大きな課題」と指摘。「興味や意欲を持った人をサポートし、継続的に取り組める環境を整えていきたい」と話した。