西武の栗山、「巧」の一打で節目2000安打達成
ファンとともに20年、3方向に打ち分ける巧打者の真骨頂
西武の生え抜きでは初の2000安打達成。栗山は記念ボードを掲げ、スタンドで喜ぶファンの姿を目に焼き付けた。「いい時も悪い時も応援してもらった。うれしさが込み上げてきた」。その後、同期入団の中村から花束とともに「おめでとう」と言葉を掛けられると、白い歯をのぞかせた。
節目の安打は、左、右、中堅の3方向にほぼ同じ数を打ち分けている巧打者の真骨頂だった。九回1死で、牧田が投じた外角への95キロのカーブを流し打って左前へ。本塁打狙いで引っ張るつもりだったが、「結果的にずっと練習してきた逆方向に良いヒット。身に付いていたのを実感できたのはうれしい」。栗山の20年が表れた。
逆境も己を高める転機に変えた。空振りで右手首を骨折した2006年には、結果を求め過ぎて迷走していたことに気付いた。「アプローチの仕方をもっと冷静にやらないといけないと思った」。ここ数年は成績を残せずにいたが、「どういう打撃がしたいのか」と自問。昨年、その答えが「低く速い打球」と分かり、「ぱーんと一筋の光が差した」。
打撃タイトルは08年の最多安打だけ。経歴は派手ではないが、2年目のオフからウエートトレーニングなどで強い体づくりにも地道に取り組み、長期離脱も少なくコンスタントに安打を積み上げてきた。「みんなに期待される場面でどんなヒットでもいいから打ちたい。それが目指すところ」。ファンの期待に応えようと、ひたすら打撃を究めてきた先に大記録が待っていた。