50歳の杉浦佳子が快挙、金メダルの重みを実感


パラ自転車、「1人で取ったメダルではない」指導者に感謝

50歳の杉浦佳子が快挙、金メダルの重みを実感

自転車ロードの女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~C3)で金メダルを獲得した杉浦佳子選手=31日、静岡・富士スピードウェイ

50歳の杉浦佳子が快挙、金メダルの重みを実感

自転車ロードの女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1―C3)でゴールした杉浦佳子=31日、静岡・富士スピードウェイ


 
 50歳の杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)が偉業を成し遂げた。自転車の女子個人ロードタイムトライアル(運動機能障害C1~C3)で優勝し、日本選手史上最年長のパラリンピック金メダリストに。「最高の出来だった。(金メダルは)本当に重い」と、飾り気なく笑った。

 コースは得意な登り坂が多く、スピードでは外国人選手に劣る杉浦にも勝機があった。過去に数度試走。指導者からの指示を地図に書き込んで、イメージを膨らませて臨んだ。「言われた通りにできたかな」と満足そうに振り返った。

 2016年に自転車のレースで転倒し、肩甲骨などを何カ所も骨折。高次脳機能障害も抱えた。事故直後は漢字が読めなくなったこともあったという。それでも集中治療室を出るとすぐに自転車型トレーニングマシンをこぎ始めた。

 周囲の勧めもあり、17年に初めてパラサイクリングのレースに出場。同年の世界選手権ではロードタイムトライアルを制し、18年世界選手権ではロードレースの覇者となった。東京パラリンピックの有力選手になったが、コロナ禍で延期に。年齢のこともあり、引退が頭をよぎった。

 だが、指導者から「まだ伸びしろがある」と諭されて翻意。昨冬からはウエートトレーニングにも本格的に取り組み、フォームの修正につなげた。

 「この年齢の競技者の練習に関するエビデンスがない中で、日々の体調などを見て考えてくれた。大変だったと思う」と指導者に感謝。「1人で取ったメダルではないから、こんなに重いのかな」。首に掛けた勲章が誇らしげに輝いた。