佐藤友祈が意地の2冠、逃げ切ってリオの雪辱


400mに続き1500mも金、最後までリード守り切る

佐藤友祈が意地の2冠、逃げ切ってリオの雪辱

陸上男子1500㍍(車いすT52)で優勝し喜ぶ佐藤友祈=29日、国立競技場

佐藤友祈が意地の2冠、逃げ切ってリオの雪辱

陸上男子1500㍍(車いすT52)の金メダルを獲得した佐藤友祈=29日、国立競技場

 「世界記録を更新して金メダル」。そう意気込んで男子1500メートル(車いすT52)に臨んだ佐藤友祈(モリサワ)。世界新には約4秒及ばず、完全な有言実行はならなかったが、400メートルに続く2冠を達成。「次は2種目で金メダル、世界記録更新を必ず達成する」

 1レーンからスタートして先行。レーモンド・マーティン(米国)にぴたりと後ろにつかれ、ラストスパートに賭ける意識を感じ取った。自身を風よけに使われる苦しい展開となり、「勝ちにこだわった」。世界新を狙ってペースを上げることなく、レーサー(競技用車いす)1台分の差を最後まで守り切った。

 2012年ロンドン大会の選手の姿に触発されて競技に取り組み、金メダルを目指した16年リオデジャネイロ大会では400メートルも1500メートルも銀。いずれもマーティンに「決定的な実力の差を見せつけられた」。リベンジと世界記録更新を新たな目標に据え、リオから6~7キロ減量。走り込みでスタミナもつけてきた。

 長年所属してきた実業団チームを離れ、今年2月にプロ転向。仕事と両立させてきた競技に専念するようになり、SNSによる積極的な発信も始めた。自身の活躍を通じてパラスポーツを普及させたいとの思いもあり、「東京パラ以降、レーサーの寄贈プロジェクトや体験会をどんどんやっていきたい」。

 成長を続ける31歳にとって、今大会の2冠は序章にすぎない。「パリ、ロサンゼルス、ブリスベンの3大会は、金メダルと世界記録更新を見据えている。他の競技にもチャレンジしたい」。夢は広がるばかりだ。