東京パラの子供観戦が開始、割れる学校側の判断
声を出さずに拍手で応援、直前の観戦中止など混乱も続く
原則無観客となった東京パラリンピックで、児童生徒に観戦の機会を提供する「学校連携観戦プログラム」が25日、都内などの会場で始まった。子供たちは声を出さないようにして応援。ただ、新型コロナウイルス感染への不安から参加を取りやめる動きも広がるなど、学校側の判断は割れている。
千葉市の幕張メッセでは、市立中学校の生徒55人が間隔を空けて観客席に座り、ゴールボールの試合を楽しんだ。イヤホンで競技の解説を聞きながら、声を出さず拍手で応援した。
120人いた観戦希望者の半数超が辞退する中、貸し切りバスで会場まで移動するなど感染対策を徹底。同行した校長は「言葉や知識だけでは分からない多様性を理解する良い機会だった」と語った。
都立中等教育学校の生徒ら約50人は、国立代々木競技場で車いすラグビーを観戦した。「スポーツの素晴らしさを知る障害者教育の一環」(同校)として期間中に計約260人が会場を訪れる予定で、全員がPCR検査を受けたという。
一方、子供への感染の広がりを受け、直前になって自治体や学校が観戦中止を決めるなど、混乱も続く。見送りを決めた都立高校の副校長は「どこで感染するかは分からず、選手に感染させるリスクも考えた」と話した。
江東区は開会式当日の24日に中止を決めた。同区の市民団体は8月中旬からインターネットで観戦見送りを求める活動を続け、数万人の署名を集めていた。賛同者からは「ワクチン接種していない子供たちを観戦させるのは正気とは思えない」とのコメントも寄せられていた。
当初は中止の方針だった港区は、24日昼になって観戦する方針を保護者に通知したが、「PCR検査の手続きに不明点がある」として同日夜に中止を決定。判断を二転三転させた。