保護犬猫が癒やし役に、入院患者らに「派遣」


環境省が実施へ、入院患者らの心のケアと殺処分数削減に

保護犬猫が癒やし役に、入院患者らに「派遣」

セラピードッグの「チロリ」と触れ合う高齢者(一般財団法人国際セラピードッグ協会提供)

 環境省は2022年度、自治体などが保護した犬や猫を病院や特別養護老人ホームに提供する事業を実施する方向で検討に入った。入院患者らの心のケアと犬猫の殺処分数削減につなげる狙いだ。同年度予算概算要求に関連経費を盛り込む。

 環境省によると、19年度に殺処分された保護犬は5635匹で、保護猫は2万7108匹。同省は30年までに殺処分数を犬猫合わせて約2万匹に減らすことを目指している。

 ただ、犬猫を大量繁殖させる悪質なペット業者を排除するため6月に導入した基準で、新規の業者の飼育頭数に上限を設定。既存の業者にも来年6月から上限が適用されるため、業者が飼えなくなり、行き場を失う犬猫が増えることを心配する声もある。

 そこで同省は、保護犬猫の「活躍の場」を広げようと、病院に入院している子供や高齢者に癒やしを与える「セラピードッグ」や「セラピーキャット」に着目。取り組みの実態を調査し事例集にまとめるほか、保護犬猫の受け入れを希望する病院や特別養護老人ホームを募集し、患者との触れ合いによる効果などを検証するモデル事業を実施する方針だ。