「鉄の結束が崩れる」、工藤会トップにあす判決


捜査を指揮した福岡県警幹部尾上氏、組織の弱体化に期待

「鉄の結束が崩れる」、工藤会トップにあす判決

インタビューに答える福岡県警の尾上芳信刑事部長=6日、福岡県警本部

 一般市民を襲撃、殺傷したとして、殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)のトップ野村悟被告(74)らの判決が24日、福岡地裁で言い渡される。捜査の陣頭指揮を執った福岡県警の尾上芳信刑事部長は「鉄の結束が崩れる」と組織の弱体化に期待を込める。

 工藤会は組織の利益のためなら民間人も標的とし、全国で唯一特定危険指定暴力団に指定されている。尾上氏は「北九州市民が人質に取られているようなものだった」と振り返った。

 県警は2014年、工藤会の壊滅に向け、最高幹部を摘発する「頂上作戦」を展開。野村被告らを相次いで逮捕した。

 「鉄の結束」と呼ばれる組織を崩すのは容易ではなかったが、地道に証拠を積み上げた。逮捕された組員も捜査の過程で明らかになった上層部の自己中心的な動機を知り、幹部の関与をほのめかすようになったという。

 尾上氏は「トップを殺人容疑で逮捕したからこそ組員が離反し、話を聞くことができた。その結果、波状的な逮捕、起訴につながった」と評価する。間接証拠を積み重ねてトップの立件にこぎ着けた点を挙げ、「今後の暴力団捜査のリーディングケースになってほしい」と述べた。

 組員が減少するなど弱体化に成功し、県警は脱退した構成員が組に戻らないためのサポートなどを強化する。尾上氏は近く定年を迎えるが、「被害者支援や事務所撤去など引き続き暴力団対策に関わっていく」と語った。