「経験者と複数人で入山を」、県警が注意喚起


長野県で山岳遭難が多発、「密」回避で登山人気が上昇

「経験者と複数人で入山を」、県警が注意喚起

長野・岐阜県境にまたがる北アルプス焼岳で遭難者を救助する県警の救助隊ら(長野県警提供)

 本格的な夏山シーズンを迎え、全国有数の山岳県である長野県では山岳遭難が多発している。新型コロナウイルスの感染拡大で、「密」を避けるレジャーとして登山の人気が高まっているのを背景に、特に単独登山者の遭難が相次ぎ、県警山岳安全対策課は、経験豊富な人と一緒に複数で山に入ることなどを呼び掛けている。

 同課によると、長野県の7月の山岳遭難者数は48人(遭難件数47件)で、昨年の7人から大幅に増加し、コロナ流行前だった2019年の36人も上回った。このうち単独登山者は19人と4割に上り、遭難件数に占める単独登山者の割合は過去5年の平均(27・7%)より1割以上高い。

 7月の遭難者48人のうち7人が滑落などで死亡し、6人は単独登山者だった。48人を年齢別に見ると、50代が最多の14人で、40代と60代、70代が各9人。30代以下は7人だった。7月下旬の4連休中には29人が遭難し、4人が死亡した。

 同課は遭難者が増えた要因として、「アウトドアブームで経験不足の登山者が増えている可能性がある」と分析。高齢者らのワクチン接種が進み、山に入る人が増えたほか、外出自粛による運動不足が遭難につながっているとみている。

 その上で、登山経験の少ない人は山岳ガイドらと共に複数で登山を行う▽自らの体力や技術、登山経験を踏まえて山選びをする▽時間、天候などを考慮したゆとりのある登山計画を立てる-ことなどを注意喚起している。