梶原悠未、自転車女子オムニアムで日本初の銀


落車も不屈のペダル、3種目目までのリードを守り抜く

梶原悠未、自転車女子オムニアムで日本初の銀

自転車女子オムニアムエリミネーションレースで力走する梶原悠未=8日、静岡・伊豆ベロドローム

 不屈の精神でペダルを踏み続けた。身長155センチで、海外選手に比べると小柄な梶原。2時間半ほどの間に中距離4種目を走るタフなオムニアムで、日本女子初のメダルとなる銀に輝いた。

 得意とする2種目目のテンポレースで5位と得点を伸ばせなかったが、「順位を落として、気持ちが吹っ切れた」。落ち込むことはなかった。

 3種目目はエリミネーションレース。1周250メートルを走りながら、2周ごとに最後尾の選手が脱落し、スピードと持久力が必要な種目だ。以前は苦手意識もあったが、海外の男子選手の映像を見て研究し、「常に自分の右側(外側)が空くように、いつでも出られようなポジションを心掛けた」。強豪選手とのスプリント勝負に次々と打ち勝ち、残り2人まで粘り抜く。最後は敗れたが、ここでの得点が大きな貯金となった。

 80周で争う最後のポイントレースでは、残り10周を切ってまさかの落車。それでも「落ち着いて戻れば大丈夫と思っていた」。焦らずレースに戻った。一度は先頭集団に追い付く見せ場もつくる。大きな得点の上積みはできなかったが、2位を守り切ってゴールした。

 もともとは競泳で五輪を目指していた。高校時代に自転車競技に出会う。筑波大に進学後は特定のコーチの下ではなく、オートバイで練習に付き合う母有里さんとの二人三脚で成長してきた。静岡県の伊豆ベロドロームでの試合は有観客での実施。ゴール後、観客席の前列にいた有里さんのもとへ駆け寄ると、万雷の拍手に迎えられた。「(レース中も)たくさんの拍手が背中を押してくれた」。小さな体で誇らしそうに自転車を持ち上げる。母への感謝の気持ちを笑顔で示し、喜びを多くの人と分かち合った。