広島市長が平和宣言、核廃絶を「市民の総意」に
76回目の広島原爆の日、平和祈念式典に751人が参列
広島は6日、76回目の原爆の日を迎えた。広島市中区の平和記念公園では市主催の平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族、菅義偉首相ら751人が参列。松井一実市長は平和宣言で「核兵器はいらないという声が市民社会の総意となれば、核のない世界に向けての歩みは確実なものになっていく」と強調した。
式典には83カ国と欧州連合(EU)の代表が出席し、原爆投下時刻の午前8時15分、「平和の鐘」に合わせて1分間の黙祷(もくとう)をささげた。
松井市長は平和宣言で、被爆の実相を「守り、広め、伝える」ための活動を続け、「為政者の政策転換を促す環境づくりを進めていく」と誓った。その上で、日本政府に一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となり、第1回締約国会議へ参加し、「核保有国と非保有国の橋渡し役を果たしていただきたい」などと訴えた。
菅首相はあいさつで、核軍縮を進めるためには「国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石である核拡散防止条約(NPT)体制の維持・強化が必要」と指摘し、次回NPT再検討会議で「意義ある成果」を収めるための努力を粘り強く続けていくと表明した。
国連のグテレス事務総長は昨年に続きビデオメッセージを寄せ、「核兵器が使用されないことを保証できる唯一の方法は核兵器の完全な廃絶だ」と訴えた。
宣言後、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で見送られた放鳩が行われ、高校生による合奏と合唱も規模を縮小して実施された。
式典では、松井市長と遺族代表が、この1年間に死亡が確認された4800人の名前を記した原爆死没者名簿を慰霊碑に納めた。犠牲者は32万8929人となった。厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ人は今年3月末時点で全国に12万7755人。平均年齢は83・94歳で、昨年より0・63歳高くなった。