陸上男子20キロ競歩、池田向希が銀メダル
異例の暑さをプラスに、マネジャーからメダルに到達
競歩で世界屈指の強豪国となった日本が、これまで五輪の表彰台に届かなかった男子20キロ。23歳の池田がその扉をこじ開け、銀メダルをつかんだ。「メダルを一つの目標にずっとやってきた。達成できてうれしい」
スタートとゴール時の気温は30度以上。札幌では異例ともいえる暑さの中、「暑熱対策をしてきたので自信を持っていた」。4キロごとに氷入りの帽子を交換して頭部や首元を冷やし、手には保冷剤を握った。日本独特の蒸し暑い気候に慣れている分、「有利なんだとプラス思考を持つことができた」と言う。
終盤は山西、スタノと三つどもえの争いに。残り3キロで山西が仕掛けても食らい付き、先に山西が脱落した。池田もラスト1キロを過ぎてからスタノにじわじわと離されたが、警告を2度受けていた歩型に注意しながら粘り、2位を死守してフィニッシュ。笑顔でガッツポーズをつくった。
東洋大入学時はマネジャー業を兼務。午前4時すぎから朝練習の準備をして部員をサポートしながら、自身の練習もこなした。大学2年時に飛躍を遂げ、2018年に世界チーム選手権20キロを制覇。そして五輪のメダリストになり、「ここまで成長できると思っていなかった。一緒に戦ってくれた酒井瑞穂コーチと家族がラストの原動力になった」と感謝を口にした。
6日の男子50キロ競歩には東洋大、旭化成の同期で、切磋琢磨(せっさたくま)してきた川野が出場する。「川野なら自分を超えてくれる」。ライバルであり親友の金メダルを願った。