競泳・池江璃花子選手、涙を見せ「泳げて幸せ」


幼い頃から試合になると一変、経験をパリ五輪の糧に

競泳・池江璃花子選手、涙を見せ「泳げて幸せ」

競泳女子400㍍メドレーリレー決勝を終えた池江璃花子(左から2人目)ら=1日、東京アクアティクスセンター

競泳・池江璃花子選手、涙を見せ「泳げて幸せ」

小学生だった池江璃花子選手が描いた絵(清水桂さん提供)

 レース後、あふれる涙を抑えられなかった。競泳女子の池江璃花子選手(21)=ルネサンス=が、400メートルメドレーリレー決勝に出場し、全種目を終えた。退院からわずか1年半。結果は8位だったが、「一度は諦めた東京五輪で、決勝の舞台で泳げて幸せ」と言葉を詰まらせた。経験を糧に、パリ五輪への道を歩み出す。

 池江選手は24日、400メートルリレーで五輪復帰を果たし、29日には混合リレーに出場。いずれも予選で敗退していた。

 東京ドルフィンクラブの清水桂さん(46)は、「決勝に残れたなんて。出場も難しいと思っていたのに」と教え子をたたえる。レース後、泣きじゃくる池江選手の胸中を、「この5年間の思いがあふれたんだろう」と推し量った。大会中の姿から、楽しんでいるのが伝わってきたのが何よりうれしかったという。

 池江選手は幼い頃から、試合になると周囲の予想を超えてきた。練習で目標タイムが達成できず、しかられてばかりだった小学生時代。天真らんまんな少女が、試合会場では「ピリピリとしたオーラ」を発し、近づき難いほどに一変。圧倒的な記録を出した。

 闘病でプールを1年以上離れた後、つかみ取った五輪代表の切符。世間の驚きをよそに、かつてのチームメートの反応は「やっぱりやったな」「璃花子だからね」。「皆に驚きと夢、希望を与えてくれるのが璃花子ですから」清水さんは誇った。

 「おリンピックでゆうしょうした」。清水さんは、小学生の池江選手から贈られた絵を大切にしている。色鉛筆で描かれた絵には、表彰台の中央で、メダルを掛けほほ笑む池江選手が。復活したエースの視線は、3年後を見据えている。