勢いに屈したなでしこ、スウェーデンに敗退


4強入りならず、持ち味の細やかな連係プレー発揮も及ばず

勢いに屈したなでしこ、スウェーデンに敗退

スウェーデンに敗れた日本(なでしこジャパン)=30日、埼玉スタジアム(時事)

 負ければ終わりの一発勝負。なでしこは闘志をむき出しにして難敵に挑んだ。高さのあるスウェーデンに何度はね返されようと、果敢にゴールへ。後半は相手のパワーにも慣れ、リズムをつかんだかに見えたが、早々の失点で難しくなった。

 1―2とされた後は持ち味の細やかな連係プレーで相手を苦しめる時間帯もあった。だが、三浦のハンドでPKを献上し、決定的な3点目を奪われる。もはやチームに追い付く力は残っていなかった。「これが今の世界との差。うまいだけでは勝てない」と主将の熊谷。涙で声を詰まらせた。

 スウェーデンはG組で優勝候補の米国を3―0で下すなど、唯一1次リーグを3連勝で勝ち上がった。「戦う部分、ゴールに貪欲に行く部分で差があった」とはエース岩渕。VARで前半のPKが取り消され、逆に後半与える流れの悪さもあったが、相手の勢いを止めることはできなかった。

 W杯ドイツ大会で初めて世界を制してから10年。ライバルは恵まれた身体能力に加えて組織力も磨き、細かなパスワークを身上としてきたなでしこの技術面の優位性は消えた。2大会ぶりのメダルには結び付かず、高倉監督は「世界の女子サッカーの急速な進歩の幅が自分の計算とは違っていた」。チームのよりどころは、再考を迫られる。