日本野球代表、苦しんだ中で結束を強めた開幕戦
ドミニカ共和国に劇的サヨナラ勝ち、土壇場で打線が奮起
五輪で13年ぶりに実施された野球の開幕戦。悲願の金メダルを目指す日本が、劇的な逆転サヨナラ勝ちで船出を飾った。稲葉監督は「みんなのつなごうという気持ちと、諦めない気持ちが、いい形になった」。苦しんだ中で、チームの結束が強まったことに大きな価値を見いだした。
決着をつけたのは、坂本だった。2点を追う九回に追い付き、なお1死満塁から中越えのサヨナラ打。無観客の福島県営あづま球場には、ベンチから飛び出した選手たちの歓喜の声が響き渡った。坂本も「初戦に勝って、正直ほっとしている。最後にああいう形で、みんながつないでくれた。勝ってよかった」。一体感を見せた勝利を誇った。
六回までは巨人でプレーするメルセデスを捉えられず、わずか1安打。6回無失点の山本を援護できずにいると、七回に登板した青柳がつかまって2点を奪われた。阪神では先発を任されている右腕が、慣れない役割で踏ん張れなかった。
敗色ムード漂う土壇場で、打線が奮起した。村上の適時打で1点差に迫ると、甲斐が同点スクイズ。小技も絡めた攻めで坂本の一打を呼び込んだ。中前打で坂本につないだ山田が「粘り強い野球ができて自信になった」と言えば、柳田は「チームが一つになった。すごく勢いがつく勝ち方」とうなずいた。
開幕戦でもあり、独特の緊張感や難しさ、重圧を一線級の選手それぞれが感じた中で課題も出たが、士気は間違いなく高まった。