ボクシング女子、20歳入江聖奈がメダルを確定
女子初「歴史の扉が開いた」、持ち味のジャブで主導権
日本女子初のメダル獲得を決めたフェザー級の入江は、胸をなで下ろしたように言った。「5ミリくらい、歴史の扉が開いたかな」。少しいたずらっぽく笑った。
ルーマニア選手との準々決勝。1回は手数で押してくる相手との距離感にとまどった。自分の持ち味のジャブを信じるしかない。丁寧に左を突いて主導権を握り、隙を見てワンツーをたたき込んだ。2回はジャッジ5人全員が入江を支持。判定勝ちの流れをつくった。
ボクシングの女子が五輪種目に採用されたのは、2012年ロンドン大会から。日本連盟は18年に山根明前会長の退任で体制を刷新し、組織の風通しが良くなった。女子の強化委員会を立ち上げ、育成に本腰を入れた。20歳の入江はまさに発掘された選手と言える。
16年リオデジャネイロ五輪でウズベキスタンを計7個のメダル獲得に導いた、ウラジミール・シン氏をコーチとして招いた。その人脈を生かし、強豪国と合同合宿を組み、積極的に遠征を重ねた。それまで乏しかった海外選手との対戦経験を積むことで、飛躍的に力を伸ばすことに成功した。
入江は昨年、アジア・オセアニア予選で準優勝し、開催国枠に頼らず自力で五輪出場権を得た。「金メダルだけを目指しているので、気持ちを入れ直す」。入江にとってメダル確定は、通過点にすぎない。