「奄美・沖縄」世界自然遺産に、国内登録5件目
ユネスコが決定、希少な固有種、豊かな生物多様性を評価
オンラインで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は26日、日本が推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県、4万2698ヘクタール)を世界自然遺産に登録することを決めた。希少な固有種が多く、豊かな生物多様性が評価された。国内の自然遺産は10年ぶり5件目。文化遺産も含めた世界遺産は24件目となる。
奄美・沖縄は、九州から台湾の間に連なる琉球列島の一部で、約1200万~200万年前の地殻変動や海面変化でユーラシア大陸から切り離された。閉ざされた環境で生き延びたり独自の進化を遂げたりしたアマミノクロウサギやヤンバルクイナなど希少種が多く生息する。
日本は当初、2018年夏の世界遺産登録を目指し、17年2月に推薦したが、ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)は、動植物を守るための区域が一体的に指定できていないなどとして、登録延期を勧告。政府は対象区域を見直し、19年2月に再推薦した。新型コロナウイルスの世界的流行で審査が1年遅れたものの、IUCNは今年5月に「登録は適当」と勧告した。
国内の世界自然遺産は、1993年登録の白神山地(青森、秋田両県)、屋久島(鹿児島県)、2005年の知床(北海道)、11年の小笠原諸島(東京都)がある。日本に五つある特徴的な動植物の分布区域をそれぞれ代表する形で選んだため、原則として日本の自然遺産登録は奄美・沖縄が最後となる見通しだ。