20歳の後藤希友、エース上野由岐子の危機を救う


自分信じメキシコ打線を抑える、若き日のエースに姿重なる

20歳の後藤希友、エース上野由岐子の危機を救う

メキシコ戦の7回、2番手で力投する後藤=22日、福島県営あづま球場(時事)

 憧れのエースが招いた危機を、20歳の後藤が見事に乗り切った。

 七回に完投目前で上野が1点を失って追い付かれた。なお無死一、二塁での救援登板。「1点も取られてはいけない状況というのは分かっていた」。1人目を捕飛に打ち取り、続く2人は三振で仕留めた。

 二塁に走者を置いて始まるタイブレークの八回も続投。内野安打に守備のミスが重なって無死二、三塁の窮地となっても、度胸満点の左腕は気持ちを乱さない。右打者の外角ぎりぎりに球を集めて2者連続三振。四球を与えた後も、また三振。「自分を信じて投げることができた」。笑顔でベンチに駆け戻りながら、力強く拳を握った。

 所属先のトヨタ自動車では、米国のエース左腕アボットに教えを受け、代表では上野の背中を追う。「自分にしかできない経験。毎日何かしらすごいなと思うことが出てくる」。世界選手権などの主要国際大会の経験がなくても代表入りしたのは、恵まれた環境で急成長する姿を認められたからだ。

 上野が「見ていると若い頃はこんな感じだったなと思い出す」と言えば、宇津木監督も「昔の上野のように見えた」と姿を重ねる。最大級の賛辞を贈られた後藤は「憧れて尊敬している方。一歩でも近づけるように頑張りたい」。日増しに存在感を増す伸び盛りの力が、エースとチームを救った。