銚子の青魚、特殊なたれでいつでもおいしく
冷凍技術で上質刺し身に 渡辺さんが開発し人気を集める
イワシやサバなどの「青魚」を、特殊なたれを使っていつでも取れたてのような刺し身で食べられるようにした冷凍技術が、千葉県銚子市で広がっている。市内をはじめとした飲食店には、東京や他県からの来客も多く、人気に。
この技術を開発したのは、同市に隣接する旭市で銚子港の魚を使った料理店と宿泊施設「カントリーハウス海辺里」を経営する渡辺義美さん(76)。
渡辺さんは、岩ガキの殻を高温で焼いてできた粉末を水に溶かし、塩やタマネギ、ショウガなどと混ぜて「熟成塩たれ」を完成させた。このたれに青魚の鮮度落ちや、特有の臭みを抑えることが認められ、2009年に特許を取得した。
水揚げ直後に3枚下ろしにしたイワシやサバなどを短時間たれに漬け、真空パックで冷凍すると、解凍後も「取れたて」に近い状態で食べられるという。冷凍しているため「寄生虫のアニサキスの心配もなく、マグロやカツオなどにも使える」と渡辺さん。
渡辺さんは自身の店のほか「たれを使って銚子の名物を」と、飲食店や観光業者らでつくる任意団体「うめぇもん研究会」に参加する店にもたれを提供。それぞれの店で青魚などの料理が好評となっている。
同研究会の会長を務め、ホテル内の和食店「廣半」も手掛ける銚子プラザホテルの大木及夫恵専務によると「冷凍した魚を解凍しても、うま味が保てるほか、臭みも少ない」という。さらに「水揚げされたばかりの魚を刺し身にしたときより、おいしく感じることがある」のだとか。
同研究会に加入する店では、毎年6月から7月末まで「入梅いわし祭」と銘打って、旬のイワシ料理をアピール。刺し身や「漬け丼」、天ぷら、つみれ汁などをサービス価格で提供している。12月からは「極上さば料理祭」が開催される。