「職域接種」の申請続々、自治体や大学間で連携


地域住民にも検討、医学部のない大学は打ち手確保に苦心

「職域接種」の申請続々、自治体や大学間で連携

大学内でワクチン接種を始めると記者会見で発表した広島大の越智光夫学長=4日午前、広島市南区(時事)

 大学を会場とした新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、医学部を持つ大学が続々と学生や教職員らを対象とした「職域接種」の申請をしている。「キャンパスライフの奪還」を掲げ、いち早く接種を始める大学や、地元自治体や大学間で連携して接種するケースが出ている一方、医学部を持たない大学は打ち手確保に苦心している。

 キャンパスがある広島県東広島市と協力し、学生らへの接種を21日から始める広島大の担当者は「地域住民への接種も検討している」と話す。宮城県や仙台市と連携し、市内の商業施設に接種センターを設置済みの東北大は、センターの一角を使って同日から接種を開始する。

 医学など医療系3学部を持つ慶応大も21日から学生らへの接種を始める。伊藤公平塾長は「昨年4月から大幅な制限を受けてきたキャンパスライフを奪還し、授業や研究環境、全ての課外活動を活性化する」とのメッセージを公表。同日から接種を開始する近畿大も「対面授業の全面再開を目指す」とした。

 近隣の大学間で連携する動きもある。弘前大は弘前学院大など四つの大学と連携して学生らへの接種を行い、神戸大は神戸松蔭女子学院大の学生らへの接種も受け入れるとした。

 一方で、医学部のない大学や小規模校は、打ち手確保に苦心している。早稲田大は「医師らの確保に課題が残り、引き続き検討中」とする。帯広畜産大の担当者は「医療関係者の確保が課題。いろいろなつてをたどってお願いしていく」と話し、豊橋技術科学大の担当者は「医療従事者の当てもめどもない」と声を落とした。

 文部科学省は8日、職域接種を検討する大学は、他大学の学生、教職員や地域住民への接種も検討するよう求める通知を出した。