広島原爆死没者名簿の保存状態を保つ「風通し」
119冊、32万4000人を記載、見学の子供たちの姿はなし
広島市中区の平和記念公園で19日午前、原爆死没者名簿の湿気を取り除き、異常がないかを調べる「風通し」が行われた。市職員は原爆が投下された午前8時15分に黙とうした後、慰霊碑前に並べた名簿を1枚1枚めくって保存状態を確認した。
名簿は119冊で、昨年8月5日までに亡くなったことが確認された32万4129人の氏名と死没年月日、死没時の年齢が記載されている。身元不明者を弔うための「氏名不詳者多数」と記された1冊も含まれる。119冊のほか、長崎で被爆したが、遺族が広島の慰霊碑への奉納を希望した10人の名前が記載された1冊も風通しされた。
市職員は風通しと並行し、慰霊碑の石室内や奉安箱の清掃も実施。広島県は新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されていることから、例年見学に来る子供たちの姿はなく、マスク姿の通行人が作業を眺めていた。