望ましい政経分離路線
朝鮮半島は常に大陸国家と海洋国家の挟間で両勢力の橋渡し・緩衝地域と位置付けられた。代表的な例が13世紀、元は半島を前線基地として2回、日本を侵攻。16世紀、豊臣秀吉の2回にわたる朝鮮出兵も中国進出の橋渡しを拒んだためだった。
1894年の日清戦争と1904年の日露戦争も大陸国家と海洋国家の対決であり、海洋国家・日本の勝利に終わった。第1次、第2次世界大戦も海洋国家の英・米連合国が勝利を収めた。旧ソビエト連邦が崩壊して15カ国に分離独立した原因も、大陸国家ながら海軍力建設に大掛かりな国家予算を費やしたのが近因だといわれている。
旧ソ連に続く次の崩壊の順番は中国だろうと専門家の間では指摘されている。中国も大陸国家ながら海軍力建設に多額の国家予算を費やし国力衰弱を招いているからだ。
小銃、大砲、戦車は平均2~3年で開発・製造(メイク)できる。しかし、最先端のイージス艦・ミサイルシステム、潜水艦、艦載機・航空母艦は少なくとも10年以上研究・開発して就役し、戦力化まで合わせて15~20年の長期間が必要だ。だから最先端の機動艦隊を編成して戦力化する事業は、海軍力の建設(ビルド)といわれる。
韓国は世界一の造船国家であり、3面が海に囲まれた海洋国家でもある。
韓半島の地政学的な環境を見極めると韓国が生き延びる安保戦略は海洋国家同盟である「米韓同盟」と「日米同盟」の強化であることが分かる。経済的には「日中韓パートナーシップ」が現実だが、政治的には「日米韓安保パートナーシップ」が必要不可欠である。「政経分離」路線こそ韓国の望ましい外交・安保路線である。
遠い強大国と同盟して隣の強大国を牽制(けんせい)する「遠交近攻」と「勢力均衡」は歴史上、永遠に変わらぬ「外交・安保の必然」であり、歴史の必然を無視すると国家的な危機を招くのが歴史の教訓である。
(拓殖大学客員研究員・韓国統一振興院専任教授)






