北の崩壊に言及した米大統領

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 冷戦時代に共産主義を崩壊させた政治指導者は米国のレーガン大統領と英国のサッチャー首相だが、宗教指導者は教皇パウロ2世と文鮮明師が主役だったと国際社会で言われている。その文師が主張した「共産主義70年崩壊論」はソ連が樹立後70年で崩壊し、その信憑(しんぴょう)性が高まった。

 ちなみに2018年は北朝鮮建国70周年であり、中国は2019年に建国70周年を迎える。もし共産主義70年崩壊論が両国にも適用されるなら、今後3~4年内に北朝鮮と中国に大きな変動が起こる可能性があるといえる。

 米国のオバマ大統領は1月22日、「北朝鮮を転覆するためには制裁や軍事介入ではなくインターネットの方が効果的だ」と指摘した(ワシントン・タイムズ)。ホワイトハウスでのYouTubeとのインタビューで、大統領は北朝鮮崩壊に言及し、「時間がたてばインターネットを通じて世界の情報が北朝鮮に浸透し、変化を起こして残忍な独裁政権の維持を極めて困難にするだろう」と述べた。

 独裁政権が崩壊するパターンは「リビア型(住民デモ)」、「イラク型(軍事打撃)」、「ルーマニア型(デモ・クーデター)」の3つの先例がある。「絶対権力は絶対腐敗する」のが歴史の先例であり教訓である。インターネットが普及した現代世界は独裁政権が継続するのは難しい時代になっている。

 北朝鮮は住民が豊かになれば民主化要求や反政府デモが発生することを恐れて本格的な開放改革に踏み切れないようだ。一般住民の貧しさを体制維持の手段として利用しながら住民の不平不満を無理やり抑えているわけだが、これは自らの首を絞める結果になるだろう。

 北朝鮮で全国的な反政府デモが発生するのは難しいかもしれない。しかし、少数の核心階層以外の多数を占める動揺階層と敵対階層が金正恩体制に背を向ける場合、急に崩壊する可能性を否定できない。正統性が疑問視される世襲体制が3代続くのは限界があると考える。

 (拓殖大学客員研究員・元韓国国防省北韓分析官)