「小貪大失の愚」犯すな
「建前では嫌いだが、本音では大好きな恋人関係」、「儒教習慣の強い韓国は兄(中国)の侵略より、弟(日本)の侵略歴史について感情が深い」――。韓日関係を表する時、よく指摘される言葉だ。
今上天皇は2002W杯共催の時、「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると、続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」と語られた。
心理学的に血族関係や兄弟関係は「近親愛憎心理」が根底にある。朝鮮戦争の時、韓国に定着した北朝鮮出身者は皆対北憎悪心が強い反共主義だった。米国に移住した英国人は祖国、英国と戦い独立戦争を起こした。さらに米国の地域感情は南北戦争にまで発展した。朝鮮戦争もある意味では南北戦争である。ちなみに、英国やイタリアの地域感情は「国境のない国境」の様相を呈している。
英国、フランス、ドイツは「30年戦争」「百年戦争」の歴史を経験したが、今は親しい隣国関係になっている。韓日関係の反面教師だ。
お隣りは常にパートナーでありライバルとして近親憎悪関係であることがわかる。
靖国神社には日本軍・特攻隊として戦没した朝鮮青年2万1020人が眠っている。今日、年間500万人が往来する韓日関係は一衣帯水の共同運命体に間違いない。
「政治屋」のような演出や妄言ではなく、「絆と草の根交流」こそが感情を溶かす。両国間の自然な感情は気象情報で言えば“晴れ時々曇り”であり、人為的に自然現象に逆らうと災いが発生し、共倒れを招く。最近の反韓デモや韓流衰退、観光・貿易減少がそれを裏付けている。
双方とも「大衆心理を扇る」政治をやめて、中身のある「経済交流を優先する」政治こそが友好回復の近道といえる。日本とドイツは世界から尊重される技術大国・経済大国だ。ブラント西独首相(当時)の謝罪は屈辱ではなく大国の勇気ある包容力だった。
双方が細かいもの(体面・面子)にこだわると、大きいもの(経済、安保)が失われる。「小貪大失の愚」を犯してはいけない。
(拓殖大学客員研究員・元韓国国防省北韓分析官)