一層の離島管理強化で国益守れ


 山本一太領土問題担当相は、日本領海の基点となっていて所有者のいない離島の国有化を加速する方針を明らかにした。

 中国が海洋進出を進める中、特に国境付近の無人離島の管理強化は、主権と国益を守る上で不可欠だ。

 国有化加速の方針を表明

 日本には既に国有化した分を除き、領海の基点となっている離島が約400ある。このうち無人島は約350で、その8割に当たる約280は所有者がいない可能性がある。政府は6月までに所有状況を調べた上で、国有財産台帳への登録作業に入る。また、こうした離島のうち約160に名称がないため、関係自治体に公募を促す方針だ。

 離島国有化をめぐっては、沖縄県・尖閣諸島が2012年9月に国有化されて以降、その周辺で中国公船の活動が活発化している。昨年の領海侵犯は計54日に上った。中国の力による現状変更の試みを看過することはできない。

 昨年末に策定された新たな防衛大綱では、離島が外敵に占拠された場合、陸上自衛隊に新設する水陸機動団が航空自衛隊と海上自衛隊の支援を得て迅速に上陸、奪還できる体制を構築するとしている。このため、新型輸送機MV22オスプレイなど機動性に優れた装備を導入する。

 自衛隊には離島防衛力の強化に向け、米軍との連携を一層深めることも求められよう。さらに、中国の偽装漁民による離島占拠など平時と有事の間の「グレーゾーン」の事態にも備えるべきだ。

 離島管理強化は、日本の排他的経済水域(EEZ)に埋蔵されている海洋資源の確保のためにも欠かせない。

 日本の領海・EEZの面積は約448万平方㌔で世界第6位の広さを誇る。海底には金や銀、銅、鉛、亜鉛などが含まれる「海底熱水鉱床」や次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」が豊富に存在している。日本最東端の南鳥島周辺には、日本の消費量の数百年分に達するレアアース(希土類)が埋蔵されていることも分かった。こうした資源を開発する上で、離島の重要性は増していると言える。

 中国は日本最南端の沖ノ鳥島を国連海洋法条約上、EEZや大陸棚を設定できない「岩」に当たると主張している。国連の大陸棚限界委員会は12年4月、沖ノ鳥島の北方など約31万平方㌔を日本の大陸棚として認める勧告を採択したが、中国は「岩」との見解を変えていない。

 中国は日本列島から台湾、フィリピン、インドネシアに至るラインを「第1列島線」、小笠原諸島とマリアナ諸島、パプアニューギニアなどを結ぶラインを「第2列島線」と位置付け、防衛線を引いている。沖ノ鳥島はこの二つのラインのほぼ中間にあって、中国にとっては戦略上の要衝となる。

 日本政府は昨年4月に決定した海洋基本計画で、海洋資源の開発を進めるため沖ノ鳥島を輸送・補給拠点として整備するとしている。中国を念頭に置いた保全策が求められよう。

 尖閣に公務員常駐させよ

 尖閣に関しても、公務員の常駐化などで実効支配を強化しなければならない。

(1月9日付社説)