韓国議長暴言、日本国民の心傷つける非礼


 韓国の文喜相国会議長が米ブルームバーグ通信とのインタビューで、慰安婦問題の解決には天皇陛下の謝罪が望ましいと発言した。

 日韓合意を無視し、日本人の国民感情を著しく傷つける暴言だ。安倍晋三首相をはじめ政府首脳が厳しく抗議し謝罪を求めたのは当然である。

 天皇陛下に謝罪を要請

 ブルームバーグ通信は、インタビューの音声記録をホームページに掲載した。それによると文氏は次のように述べている。

 「日本を代表する王(天皇)が(慰安婦に謝罪)するのが望ましい。その方は近く退位されるというので。その方は戦犯の主犯の息子ではないですか」

 著しく礼を欠いた発言であり、かつて「東方礼儀の国」と言われた国の国会を代表する政治家の発言とは思えない。

 それ以上に、歴史認識の浅さ不正確さに驚く。昭和天皇がいつ戦犯となったというのであろうか。基本的な知識も不足しているように見える。

 日本国の象徴である天皇陛下をこのような非礼な言葉で誹謗(ひぼう)することは、日本国民、日本国全体を誹謗することになる。このことを文氏は理解していないようだ。日本が過去に謝罪をしているにもかかわらず「心からの謝罪」が必要だという。日韓の未来志向をいうのであれば、韓国側も日本人の「心」にもっと配慮すべきである。

 また韓国が、天皇を「王」と表現するのも誤りである。西洋の王と違い、東アジアの王は中国の皇帝から冊封を受け臣従する立場となった。しかし、わが国天皇は、そのような立場にはなかった。誤った呼称で日本を貶(おとし)めようとするのかもしれないが、事大主義的な発想の残滓(ざんし)を自ら暴露するものでしかない。

 文氏は、日本政府の謝罪と撤回要求に対して「謝罪する事案ではない」と拒否。姜昌一韓日議連会長は「韓国人の常識的な次元から出た発言と考えている」と擁護した。「反日=正義」のような建前と空気が支配し、戦後最悪と言われる日韓関係の現状を考えると、予想される反応である。

 だが日本側としても、ただ憤り、抗議するだけでは日韓関係の改善は望めない。核・ミサイル開発を放棄しない独裁国家・北朝鮮と対峙(たいじ)していく上でも、日韓の連携協力は不可欠だ。両国の関係悪化を喜ぶのは北朝鮮である。

 唯一希望的な材料は、昨年の日韓の往来が日本人韓国人ともに増加し1000万人を超えていることだ。民間での交流を進め、本音の付き合いで相互理解を深めていきたい。

 国際理解得る戦略を

 一方、文氏と会談したペロシ米下院議長は、慰安婦問題について「解決のための努力を支持する」と述べ、韓国側に理解を示した。国際社会に慰安婦問題の基本的な知識や日本側の主張が正しく伝わっていない現実を直視する必要がある。

 慰安婦募集に国家としての関与はなかったことなどを主張するだけでは、女性の人権問題に対する意識が低いと捉えられる恐れがある。国際社会の理解を得るための戦略を根本的に考え直す必要がある。