大阪万博決定、人類の未来へ発信力示す機会
2025年国際博覧会(万博)が大阪で開かれることが決まった。大阪万博は1970年以来55年ぶりとなる。
経済効果は2兆円規模に上るとみられ、2020年東京五輪・パラリンピック後の日本経済の牽引(けんいん)役として期待されるが、それとともに日本が持つ技術やアイデアが人類の未来に貢献し得ることを世界にアピールする機会としたい。
最新技術を駆使した展示
25年大阪万博は、松井一郎大阪府知事と橋下徹前大阪市長が14年8月、関西経済の成長戦略の一環として誘致を表明。政府も東京五輪後の景気浮揚策として17年に誘致を決め、博覧会国際事務局(BIE)に立候補を届け出た。
パリで行われたBIE総会の決選投票では、92対61でロシアを下した。安倍晋三首相が各国首脳に支持を呼び掛けたほか、国会議員や大阪府・市、経済団体関係者がアフリカや中南米など各国に出向いて支持を要請。開催決定に松井知事は「これまでの常識を打ち破る、世界の課題解決を実現させる万博にしたい」と意欲を示した。
安倍首相は万博成功に向けて「大阪・関西の皆さまをはじめ、オールジャパンの体制で、全力で取り組んでいく」と強調。「日本の魅力を世界に発信する絶好の機会でもある」とのコメントを発表した。
大阪・関西地方の経済活性化の起爆剤となるだけでなく、全国の景気の浮揚効果を高め、日本の魅力を伝える大きな機会を得たわけだ。まさにオールジャパンで連携を密にして取り組んでいきたい。
25年大阪万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)を会場に5月3日から11月3日まで185日にわたって開催される予定だ。来場者は約2800万人を見込んでおり、建設関連などによる経済効果は約2兆円と試算されている。
「健康・長寿」の実現に資する万博を目指す。しかし、この目的を果たすには、食料や環境、住宅、さらに医療などのさまざまな課題を解決していかなければならない。
日本の保有する技術やノウハウが、どのような解決策を示し、人類の未来を提示できるかに注目は集まる。人工知能(AI)や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)などの先端技術を駆使した展示が構想されており、VRで海外でも会場にいるかのような体験ができるという。
また、各国パビリオンが点在する会場には「空(くう)」と名付けた大広場を5カ所設けたり、未来社会の具体的なイメージとコンセプトを表現したりする。日本の伝統文化の底力も示したい。
ブランド力を高めよ
とりわけ大阪・関西地方は、これを機に世界の大阪としてのブランド力を高め、経済圏として飛躍するチャンスととらえるべきである。東京や首都圏よりも歴史的には古く文化の蓄積のある大阪・関西がその潜在力を顕在化させる機会とすることを望みたい。
さらに増加が予想される海外からの来訪者を迎え入れる体制を整えていく必要もある。