オスプレイ、有事への対処能力高めよ
米軍横田基地(東京都福生市など)に米空軍のCV22オスプレイ5機が10月1日に配備される。2024年ごろまでに計10機と要員約450人が段階的に配備される。沖縄県以外の在日米軍基地へのオスプレイ配備は初めてとなる。
米軍が横田基地に配備
米軍は当初、17年後半に3機を横田基地へ配備するとしたが、19~20年に延期すると公表していた。予定を前倒ししたのは、緊迫する東アジア情勢を踏まえたものだろう。
配備に先立って今年4月には横田基地に5機が飛来し、日本や周辺地域での訓練に参加してきた。米軍は配備を日本周辺での有事への対処能力向上につなげる必要がある。
CV22は、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている海兵隊仕様のMV22オスプレイと基本性能は同じだが、空軍の特殊作戦で使われるため、過酷な条件下で運用できるよう夜間飛行能力が強化され、地形追随装置などが装備されている。
ただ、10月に配備されるとみられる5機のうち1機は6月、エンジン故障で奄美空港(鹿児島県)に緊急着陸したことがある。海外で運用されている機体では乗員が死亡する事故も起きている。
日本政府は、可能な限り人口密集地上空を避けて飛ぶことや、午後10時~午前6時の飛行は必要最小限にすることなどを求め、米側も応じる意向だ。地元住民の不安を払拭(ふっしょく)するためにも、米軍は安全確保に十分に配慮しなければならない。
米軍はCV22の訓練について、群馬など5県の上空や東富士演習場(静岡県)などの訓練エリアで行うとしている。移動の際には高度約300㍍以上を飛行するため、騒音や安全について「著しい悪影響はない」という。信頼向上につながる運用に努めてほしい。
オスプレイをめぐっては、陸上自衛隊も佐賀空港(佐賀市)への配備を計画している。小野寺五典防衛相は佐賀県の山口祥義知事との会談で、国が着陸料として20年間で計100億円を県に支払うことで合意した。今後の焦点は計画用地の地権者である漁業者の同意に移る。
計画は、空港西側に駐屯地を新設し、21年度までにオスプレイ17機を順次配備するというものだ。だが、今年2月に同県神埼市で陸自戦闘ヘリコプターの墜落事故が起き、防衛省と県の協議が中断していた。
中国は沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張している。1月には尖閣周辺の接続水域に中国海軍の潜水艦とフリゲート艦が進入。7月には、尖閣周辺で領海侵入を繰り返す中国海警局が準軍事組織、人民武装警察部隊(武警)に移管されるなど警戒すべき動きが見られる。
地元住民の理解得よ
佐賀空港へのオスプレイ配備は、中国による尖閣など離島への侵攻に備えるものだ。「日本版海兵隊」の水陸機動団を戦闘地域に運ぶことを想定している。
厳しさを増す安全保障環境を踏まえれば、抑止力向上への不断の努力が求められるのは当然だ。オスプレイ配備に当たって、国は地元住民への丁寧な説明で理解を得る必要がある。