サッカーW杯、若者に夢届けるプレーを
サッカーの祭典ワールドカップ(W杯)ロシア大会が14日午後6時(日本時間15日午前0時)に開幕する。日本代表は2002年日韓大会と10年南アフリカ大会でベスト16に進出したが、今回はそれ以上の活躍を期待したい。
突然の解任劇
西野朗監督が率いる日本は19日(現地時間)のコロンビア戦を皮切りに、24日(同)にセネガル、28日(同)にポーランドと対戦する。いずれも国際サッカー連盟(FIFA)ランキングでは格上で厳しい戦いが予想されるが、人々に感動を与えるようなプレーを見せてほしい。特にコロンビアには14年ブラジル大会で惨敗しただけに、4年越しのリベンジを期待したい。
今大会は、事前の盛り上がりに欠けると言われている。大会前の代表チームで話題に上ったのは、プレーの質ではなく、監督を務めていたバヒド・ハリルホジッチ氏の突然の解任劇だったことも影響している。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、ハリルホジッチ氏と選手との信頼関係が失われたことが解任の理由だとし、「W杯で1%でも2%でも、ベスト16に入る可能性を上げるために、(解任を)決断した」と述べた。ならば、すべてを託した西野監督を全面的にサポートし、大会後には、なぜ前監督と選手間で意思疎通がうまくいかなかったのか、しっかりと総括してもらいたい。でなければ、今後も同じ失敗を繰り返す可能性があるからだ。
西野監督は就任後、わずか2カ月でチームを仕上げる必要があった。新監督が短期間でチーム作りをする場合、まず守備の構築を図るのがセオリーだが、監督就任後に行われた親善試合は3試合とも2失点だった。守備が安定しているとは言えない状態が続いており、初戦までに修正できるか、手腕が試される。
一方、今大会は過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員らによるテロの可能性も指摘されている。ドイツメディアによると、ISに忠誠を誓うロシア出身戦闘員らによるテロの危険性が高い。
公安調査庁はホームページ上に、現地で観戦するサポーターに向けてテロへの警戒を呼び掛ける情報を掲載。駐ロシア日本大使館も大会期間中、日本代表のリーグ戦が行われる3都市に臨時事務所を設ける。
ロシア政府はテロに対する警戒感を強めており、サポーターは身の安全に十分注意を払う必要がある。
不祥事続くスポーツ界
今年の日本スポーツ界は不祥事が相次いでいる。1月には、カヌー競技で日本トップレベルの選手がライバルの飲み物にドーピング違反となる薬物を混入したことが発覚。その後もレスリング女子で五輪4連覇を達成した伊調馨選手へのパワハラ問題や、アメリカンフットボールで日本大選手が関西学院大の選手に背後から激しいタックルを仕掛けて、けがを負わせた問題などが続いた。
そうした中で行われる大会だ。日本代表選手には、最後まで諦めない姿勢を貫くと同時に、若者たちに夢を届けるプレーを期待したい。