G20大阪開催、魅力を磨き万博誘致の弾みに
日本が議長国を務める来年の20カ国・地域(G20)首脳会議の開催地が大阪に決まった。初のG20国内開催であり、有力な首脳が一堂に集まる国際会議によって世界から注目される。東京に次ぐ第2の都市である大阪の国際的な知名度を上げ、活力を呼び起こして魅力を磨き、経済・文化の牽引(けんいん)役としての役割を果たすことを期待したい。
「地盤沈下」を否めず
G20では先進7カ国(G7)はじめ欧州連合(EU)、中国、韓国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカなど20カ国・地域から首脳、政府関係者、報道陣など約3万人が開催地に滞在する。
G20開催地をめぐっては、大阪府・市のほかに、愛知県、福岡市が誘致を表明していた。これに政府は東京を加えた4候補地を現地調査し、地方創生の観点から東京・名古屋・大阪の3大都市以外の福岡市での開催に向け最終調整に入ったものの、必要な高級宿泊施設の数を確保することが難しいとの判断から大阪が選ばれた。
大阪市の吉村洋文市長は、G20成功に向け大阪が世界に認められる国際都市として万全の体制を取ると表明する一方、「万博誘致にもつなげたい」と大阪府が開催地に立候補している2025年万国博覧会にも意欲を示した。また、松井一郎大阪府知事は「日本には、東京だけでなく、大阪という都市があることを世界に知らしめる絶好の機会を与えていただいた」と、大阪の国際的な知名度が上がることを期待した。
東京を中心とする首都圏への一極集中の長年の傾向は、商業都市の大阪をのみ込み、万博のあった1970年から国内に占める府内総生産の割合は低下傾向にあり、人口もほとんど変わっていない。これは近畿地方(2府4県)も同様である。
若者の東京圏への流出、大都市圏の東京、神奈川、愛知などと比べて高い貧困率、全国トップの犯罪発生率など負のイメージも強い。かつての商業の中心地の「地盤沈下」は否めず、橋下徹前大阪市長ら大阪維新の会が地方政治に旋風を起こし、大阪都構想を打ち出したのも、現状から脱却しようとするためだ。
また、関西の経済界は「万博の大阪誘致に弾みがつく」と歓迎している。今秋に大阪府が万博開催地に決定すれば、150カ国を含む166機関の参加、2800万人の来場を政府は想定している。インフラ整備、宿泊施設の再開発などが進むほか経済効果は大阪はじめ近畿圏を再生する起爆剤となるだろう。
大阪市の此花区、大正区、住之江区にまたがるベイエリアにはG20開催地になる国際展示場「インテックス大阪」のほか、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ATC、オーク200などの一大エンターテインメントセンター、高級ホテルなどが並び、夢洲には万博のため155ヘクタールの敷地が用意されている。
発信力向上の拠点に
地方創生には、首都圏以外の大都市圏の活性化も重要だ。
G20の開催地となることにより、大阪の都市としてのブランド力が高まり、東京とともに日本の国際的な発信力を高める拠点となってほしい。