防災の日、避難に自助努力が必要だ
きょうは「防災の日」。全国各地で行われる避難訓練に積極的に参加したい。
わが国で雨量が多いのは梅雨と台風の時期で、豪雨災害もその期間に集中している。今年7月には、九州北部豪雨で多くの犠牲者が出た。日本列島は豊かな自然に恵まれている半面、災害も多い。普段から防災に力を入れなければならない。
線状降水帯による豪雨
資源小国の日本にとって唯一恵まれた天然資源といえば水である。しかし列島の多くは山岳地形であり、平地は極めて限られている。そのために集中的に雨が降り続くと、河川があふれて洪水を起こすことがしばしばある。
7月5日から6日にかけて、福岡県と大分県を中心に、梅雨前線や台風3号による影響を受け、集中豪雨が発生。死者36人、行方不明者は5人で、多くの家屋が倒壊する被害が出た。地元の日田雨量観測所では、1日の降水量が336㍉を記録したという。
この大雨を降らせたのは、次々と発生する発達した積乱雲が列をなす「線状降水帯」だ。短時間で一気に降らせ、降雨分布の予測をしにくく、警報や避難指示の出し方も難しい。
3年前の土砂災害防止法の改正により、市町村は遅滞なく避難勧告・指示を出すようになった。近年、線状降水帯による被害はとみに増えており、各自治体の避難指示のきめ細やかさ、的確さが問われる。
その一方で、行政と地元の大学が協力して、大雨時の地元の情報について精度アップを図ってきた地域もある。
4年前に土砂災害が発生した新潟県の寺泊山田地区では、同地区内に設置した雨量計を活用し、スマートフォンやパソコンで自宅近辺の気象状況を知ることができるようネットワークが作られた。
このシステムを使って、自宅がどのような危険にさらされているのか、土砂崩れが起きる可能性はどうなのかといった情報をリアルタイムに知ることができるようになった。避難のタイミングを自分で判断できるようになり、「自助」の意識も高まっている。このような自治体、住民ぐるみの避難対策が各地に広がることを期待したい。
また、自治体によって用意され各戸に配布されている避難時の「ハザードマップ」も、いざと言う時、どれほど役に立つのか疑問視する声が少なくない。地震の時の避難場所、その経路と大雨の時のそれとは大きな違いがあるのに、その配慮がなされていないマップが大半だ。住民からの情報、意見を盛り込み、災害のシナリオごとに避難経路・場所を鮮明にしたマップ作りが必要だ。
小中で「防災教育」を
異常気象で、竜巻など今まであまり見なかった現象に遭遇するようになった。こうした現象の基礎知識、例えば前兆としてどういうものがあるのか、出合った時どこへ、どういうタイミングで逃げればいいのかといった知識は普及していない。
このような知識を体系的に整え、小中学校のカリキュラムの中で教えることを早急に検討すべきだ。