新駐日米大使、同盟強化へ重責を果たせ
駐日米大使に就任する実業家のウィリアム・ハガティ氏の宣誓式が行われた。8月中旬にも日本に着任する。
中国の強引な海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発で東アジア情勢は厳しさを増している。こうした中、駐日米大使の役割は非常に重要である。同盟の一層の強化に向け、重責を果たしてほしい。
日本語に堪能で親日家
ハガティ氏は政権移行チームで、閣僚や各省庁の幹部ら4000人に上る職員の人選を担う政治任用部長を務めるなど、トランプ氏からの信頼が厚いことで知られている。ボストン・コンサルティング・グループに勤務していた際、東京に3年間駐在。日本語に堪能で、親日家とされる。
ハガティ氏は北朝鮮の2度目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を踏まえ「(米国は)日本と団結し、決意を持って北朝鮮の脅威に立ち向かっていく」と述べた。また、国連安全保障理事会による対北制裁決議の効果的履行に向け、日米韓で連携していく重要性を強調した。
今回のICBM発射をめぐっては、安倍晋三首相がトランプ大統領との電話会談で、北朝鮮への圧力を強化していく方針を確認するとともに、北朝鮮に対する影響力の大きい中国、ロシアへの働き掛けを強めることで一致。トランプ氏は「日本列島に極めて近い地点に着弾したことを大変心配している。米国の日本防衛に対するコミットメント(関与)は揺るぎない」と述べた。
日本は米国と歩調を合わせる形で、北朝鮮と取引のある中国の銀行を資産凍結対象に加える追加制裁を決定。北朝鮮を牽制するため、韓半島沖などの空域で、航空自衛隊と米空軍が共同訓練を実施した。
厳しい東アジア情勢の中、日米同盟の一層の強化が求められている。その意味で、ハガティ氏の手腕が問われる。ハガティ氏は「日米はすでに素晴らしい関係を築いており、私の願いはその関係をさらに強化することだ。両国の互いの利益を今後も促進させていく」と述べた。
初の女性の駐日米大使だったケネディ前大使はトランプ政権発足直前に離任。暗殺されたケネディ元大統領の長女であるケネディ氏は、ほとんど外交任務に関わらず、いわば象徴としての存在感が大きかった。
米上院は先月半ばにハガティ氏を新駐日大使に充てるトランプ氏の人事を賛成多数で承認した。承認になかなか時間を割けなかったのは、医療保険制度改革(オバマケア)代替法案、2018会計年度予算案、トランプ陣営とロシア政府が共謀して昨年の米大統領選に介入したという「ロシアゲート」疑惑への対応に追われた事情による。
辺野古移設へ尽力を
ハガティ氏は任期中の沖縄訪問に関して「米軍施設を受け入れている自治体には大いに感謝しており、いずれかの時点で訪問したい」と述べた。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を実現することは、沖縄の基地負担軽減にもつながる。県民の理解を得られるよう、ハガティ氏には尽力してほしい。