辺野古移設への作業を粛々と進めよ


 沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である同県名護市辺野古の埋め立て海域のボーリング調査を再開した。台風の影響で昨年9月に中断してから約半年ぶり。調査は約2カ月かかる見通しで、夏頃の本体工事着工を目指す。

 知事は徹底抗戦の構え

 工事中断中の昨年11月、沖縄県知事選が行われ、辺野古への移設に反対する翁長雄志前那覇市長が当選した。調査は翁長知事の就任以降初めてとなるが、わが国の安全保障環境が好転したわけではなく、むしろ厳しさを増している。移設への作業を粛々と進めるべきである。

 辺野古移設の最大の目的は、住宅街が近くに迫る普天間飛行場の危険性を除去することにある。そして日米同盟をより強固なものとし、抑止力を高めてわが国と東アジアの安全保障を確実なものにしていくことだ。

 さらには、跡地利用や新基地建設による沖縄経済の発展も期待できる。特に、地元辺野古では飛行場移設をテコに発展を図ろうと街づくり推進を条件に移設に賛成。名護漁業協同組合も埋め立てに同意している。こうした状況を踏まえ、仲井真弘多前知事は総合的に判断して辺野古の埋め立てを承認した。

 これに対し、翁長知事は前知事の承認手続きを検証するため、専門家らによる第三者委員会を設置。7月に検証結果が出るまでは調査を中断するよう求めていた。

 翁長知事は調査再開について「県民に対して説明のない中で物事が進むのは許せない。あらゆる手法を駆使して、辺野古に基地を造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む」と徹底抗戦の姿勢を示した。

 移設反対派の強気の姿勢の背景には、昨年の知事選に続き、衆院選でも県内4選挙区全てで反対を唱えた候補が勝利したことがある。

 一方、菅義偉官房長官は「環境保全に万全を期しながら粛々と進めていきたい」と記者会見で語っている。ボーリング再開は、予定通り工事を進めていくという政府の明確な意思だ。

 米海兵隊のダンフォード総司令官は先日、辺野古への移設が滞れば沖縄の負担軽減につながる海兵隊のグアム移転に影響するとの懸念を表明している。

 この問題で、沖縄だけでなく本土の世論もおかしくさせている一因は、メディアの偏向報道である。反対派がいかに過激で違法な行動に出ているかは、本紙を除いてほとんど報じられていない。その核となる人々は「安保破棄」と大書した看板を掲げ、道路に座り込むような活動家である。

 公共放送のNHKなども「反対住民や市民グループ」などと表現し、平和愛好的で良識的な市民が中心のような誤ったイメージを流布している。取り上げられるコメントも反対派がほとんどで、賛成する地元住民の声はない。

 国民の支持得る手だてを

 普天間飛行場の危険を除去し、日米同盟を強化するために、辺野古への移設は何としても実現しなければならない。政府は国民に理性的な判断をしてもらう手だてを考え、忍耐強く実行すべきである。

(3月13日付社説)