大震災4年、復興と共に「共助」進めよ
1万8000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災から、きょうで4年を迎えた。地震と大津波による甚大な被害は被災者だけでなく、多くの人々の脳裏に焼き付いている。復興を加速するとともに「共助」の実践を推し進めていかなければならない。
被災3県に大手企業も
現在、震災のため約23万人が全国各地に避難している。このうちプレハブの仮設住宅で暮らす人は宮城、岩手、福島の3県で計8万1000人(1月末現在)。大規模な造成工事が必要な高台への集団移転などに時間がかかり、被災者の中には自宅の再建方法を決めかねている人たちもいる。
自治体が進める被災者向けの宅地整備が遅れがちであるのも心配だ。住宅確保に引き続き全力を挙げ、政府は2015年度までとしている集中復興期間後も復興事業の財源確保に努める必要がある。
また、阪神淡路大震災の時と同じように、被災者らの心のケアや健康問題といったソフト面に、今後もきめ細かく対応することが重要だ。
一方、3県では地元企業の再建に加え、東北以外に本社を置く大手企業の進出も目立ってきた。福島県いわき市では2月、大王製紙の新工場起工式が行われた。またトヨタ自動車が東北地方を「国内第3の製造拠点」と位置付けたことで、宮城県を中心に関連企業の集積が進行中であり心強い。復興への具体的な形が見えてくることが期待される。
この間、身近な住民同士が助け合う「共助」の考え方に基づく「地区防災計画」作りの輪も広がっている。岩手県大槌町をはじめ15のモデル地区が選ばれ、物資や資材の備蓄、避難ルートや近隣での助け合いのルールのほか、避難所運営の組織体制などを定めることになっている。短期的な救済措置という発想ではなく、後世に残し伝えることのできる無形、有形の防災システムにしてほしい。
東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土の中間貯蔵については、政府が2月に福島県大熊、双葉両町の施設予定地内で保管場の建設工事を開始し、間もなく運び込みが始まる。環境省は、低コストで放射性物質の濃度別に汚染土を分離できる技術の開発や、道路舗装でアスファルトの下地となる路盤材に混ぜるなど再生利用の方法の検討作業を本格化させるとしている。その実績を重ねたい。
ただし原発事故への対応では、当時政権与党だった民主党の菅直人首相による東電への過剰な介入に問題があった。電源喪失には、即座に電源を空輸すれば十分に対処できた。
事故について正確に認識することが今後の危機管理に不可欠である。
減災方策に知恵絞れ
日本列島周辺では複数のプレートが押し合っており、国土のどこでも強い揺れの地震から逃れられない宿命がある。故に最も優先して取り組むべき課題は、地震や大津波などに襲われた時に、被害をできるだけ軽減する「減災」の取り組みだ。減災を念頭に防災対策を営々と続けることが肝要である。
(3月11日付社説)