民主党大会、党再生に展望が開けたのか


 民主党大会が開かれ、「政権の選択肢として党再生の姿を示す」と二大政党復活への決意を盛り込んだ活動方針を決めた。

 しかし岡田克也代表が病気治療で欠席したため、盛り上がりに欠けたと言わざるを得ない。これで党再生に展望が開けたのか疑問だ。

 代表欠席で盛り上がらず

 昨年の衆院選で、民主党は円安による物価上昇や実質賃金の低下などを挙げ、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への批判を展開した。だが説得力のある代案を示せず、民主党は議席数をわずかに伸ばしたとはいえ、実質的には敗北した。当時の海江田万里代表も落選し、代表を辞任した。

 岡田氏は大会に寄せたメッセージで「多様な価値観を尊重し、互いに支え合う共生社会の実現」を強調した。単なる政権批判で終わることのないように、岡田氏肝煎りの組織「共生社会創造本部」で格差解消のための具体策作りを急ぐ構えだ。

 安倍政権との対立軸を打ち出す狙いは理解できる。だが、来賓として挨拶した民間女性が指摘したように、どのような日本をつくりたいのかというビジョンははっきりしていない。党再生を果たして二大政党の一翼を担うために、まずは国家観を明確にする必要がある。

 もっとも病気治療のためとはいえ、代表が大会を欠席するようでは党改革への決意は十分に伝わらない。岡田氏は代表選で公約した「党再生300日プラン」もいまだに策定できていない。これで「自民一強」の政治状況を打破できるのか。

 岡田民主党の最初の試金石となるのは4月の統一地方選だ。岡田氏はメッセージで「統一地方選で土台を固め、来年の参院選、次期衆院選に向け反転攻勢を掛けていく」と表明した。

 それにもかかわらず、道府県議・政令市議選の公認・推薦候補者は現時点で619人と前回の6割程度にとどまる。昨年の衆院選でも民主党は準備不足で、政権交代可能な数の候補者を擁立できなかった。

 党再生も選挙態勢構築も後手に回っている印象を拭えない。岡田氏には、党改革のスピードを上げることを求めたい。

 昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け、通常国会では安全保障法制の整備が焦点となる。民主党は活動方針で「テロ対策を含め、国を守り国際社会の平和に貢献するための現実的な外交安全保障政策をまとめあげる」としている。

 しかし、安全保障問題は常に党内の保守系とリベラル系の対立の火種となってきた。民主党は集団的自衛権行使の是非について、いまだに態度を明確にできていない。

 これでは国民の信頼を回復することは難しい。党の見解を明示できるか、岡田氏の指導力が問われる。

 「政治とカネ」の克服を

 党大会では、枝野幸男幹事長が「政治とカネ」の問題について「建設的な改革の提言に努める」と述べた。

 疑惑のある閣僚を追及するのは当然だが、これ以上政治不信を増幅させないためにも与野党は協力してこの問題を乗り越えていくべきだ。

(3月2日付社説)