アギーレ氏解任、サッカー界は混乱繰り返すな


 日本サッカー協会は、ハビエル・アギーレ監督の八百長疑惑問題で、スペイン検察庁の告発が裁判所に受理されたことを受け、同監督を解任すると発表した。今後、捜査が本格化し、アギーレ氏もバレンシアにある裁判所で事情聴取を受けることになる。

 このまま監督を続ければ日本代表の活動や強化に大きな影響が出ることは必至で、解任は妥当な判断だろう。

 八百長に関与の疑い

 日本代表監督が任期途中で交代するのは、病気で退任したイビチャ・オシム氏や成績不振で更迭された加茂周氏らがいるが、八百長疑惑というスポーツの根幹に関わる事態や司法が絡むケースでの解任は前代未聞で、サッカー協会は重く受け止める必要がある。

 八百長は常にスポーツの暗部として付きまとう。サッカー界でも、欧州サッカー連盟(UEFA)が欧州警察機構(ユーロポール)と協力体制を敷くなど、八百長に対して厳しい姿勢で臨んでいる。

 サッカーの国家代表チームは子供たちの憧れであり、八百長疑惑は教育面でも影響がある。トップチームの監督が裁判所に出頭する場面が大きく報道されるような事態は、青少年を育成する上で健全とは言えない。

 アギーレ氏についてはまだ疑惑の段階だが、日本サッカー界がクリーンであることを世界に示す意味でも、解任はやむを得ない。

 日本サッカー協会の大仁邦弥会長によると、サッカー協会がアギーレ氏に監督を打診した時には、疑惑の情報はなかったという。

 だが、アギーレ氏が就任する1年前に、スペイン紙が同国リーグで八百長疑惑があり、当局も調査を進めていると報じていた。当時は具体的な名前は出ておらず、協会側の判断が間違っていたとは単純に言えないが、同じリーグに所属していた監督を起用することについて、もっと慎重に判断できなかったのかとの疑問も残る。

 疑惑が浮上した後の対応はどうだったか。1月のアジアカップで日本はベスト8止まりだったが、大仁会長はすぐに「続投」を明言した。アギーレ氏の「汚点は全くない」との言葉をそのまま受け入れて、告発を甘く見ていなかっただろうか。

 大仁会長は今回の混乱について「心配を掛けたという意味で、責任は感じている」と語った。執行部の処分は「理事会に諮りたい」としたが、責任の所在をはっきりさせる必要があるだろう。

 日本サッカー協会が信頼を取り戻すためには、監督選考がどのような基準で行われ、交渉過程で見落としていた情報はなかったか、一部の人間の拙速な判断で就任が決まったことはなかったか、などを検証することが求められる。

 代表監督が八百長疑惑で任期途中で退任することは、日本サッカー界にも汚点として残るだろう。

 監督候補者の身辺調査を

 今後、サッカー協会は監督候補者の身辺調査などの対策を立て、同様の混乱が起きないよう取り組んでもらいたい。

(2月5日付社説)