学校襲撃、過激派壊滅へ国際支援を


 パキスタン北西部ペシャワルにある学校を武装集団が襲撃し、生徒ら148人が死亡、約120人が負傷した。イスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)による犯行だ。学校を標的としたテロ事件としては、パキスタン国内では過去最悪の被害という。

 逃げる子供たちを無差別に襲撃したようで、校内にはノートや靴が散乱し無残な姿をとどめていた。恐怖の中で惨殺された子供たちを思うと胸が痛む。許し難い蛮行だ。

 マララさん銃撃集団が

 TTPは隣国アフガニスタンの反政府勢力タリバンを支援する部族単位の約30の武装グループの集団で、勢力は3万人を超える。パキスタン政府や軍に対するテロを繰り返しており、2012年10月には今年のノーベル平和賞を受賞した教育活動家マララ・ユスフザイさんを銃撃した。

 それにしても、子供たちを標的にした今回のテロは改めてTTPの異常な性格を物語っている。TTPはイスラム法の厳格な適用を求め、女性が教育を受けることに反対しており、「マララたちは何人でも殺されることになる」と脅迫している。彼らの目標はイスラム教による国家支配で、国際テロ組織アルカイダとのつながりも強い。

 国連安全保障理事会は11年、TTPを資産凍結や渡航禁止などの制裁対象団体に指定した。だがテロ活動はやまず、今年6月にはパキスタン南部のカラチの国際空港を襲撃し、職員ら18人を殺害した。

 パキスタン政府は一時、TTPとの対話による和解を目指した。しかし、テロ活動の連続で断念し、掃討作戦を強化する姿勢に転じた。和解の道を探ったのは、パキスタン軍がTTPをインドに対抗するために利用しようとしたからだったが、今となっては裏目に出た。

 パキスタン政府はTTP掃討作戦に全力投球すべきである。その点で不可欠なのは国際協力である。というのはTTPは単独組織ではなく、タリバンと協力関係にあるからだ。

 憂慮されるのは米軍が主力となっているアフガンでの国際治安部隊の撤収が進んでおり、タリバンの勢力拡大が予想されることだ。国際社会に求められているのは、アフガン安定およびパキスタン政府によるTTP壊滅作戦への支援である。

 その点、16年末までに全面撤退を予定する米政府がアフガン政府と来年以降の米軍駐留を可能にする安全保障協定に調印したのは賢明な措置だった。狙いはイラクの二の舞いを回避するためだ。米国はイラクと地位協定を結べず、11年末に米軍は完全撤退を余儀なくされ、その結果イラクでは過激組織「イスラム国」が猛威を振るうようになった。

 マララさんは事件について「胸が張り裂けるような気持ちだが、私たちは決して屈しない」と語っている。子供を標的にした残虐なテロは全世界のTTPへの反感を強めるだけだ。

 テロは孤立を招くだけだ

 安倍晋三首相ら各国首脳はテロと戦うパキスタン政府への支援を約束している。テロは国際的孤立を招くだけだ。

(12月21日付社説)