GDP大幅増、反動減を最小限に抑えよ
今年1~3月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比1・5%増、年率換算では5・9%増と、大方の予想を上回る高い伸び率になった。6期連続のプラス成長である。
消費増税前の駆け込み需要が大きかったからだが、4~6月期はそれだけ反動減が大きくなることが予想される。消費者心理の悪化も続いており、政府は予断なく景気腰折れ防止に取り組んでほしい。
大きかった駆け込み需要
民間エコノミストの事前予想は4%台前半だったから、今回の数字は予想以上の伸び率と言える。自動車や白物家電など耐久消費財を中心とした駆け込み需要が大きく増えたため、個人消費は前期比2・1%増と好調だった。
企業の設備投資も、過去最高益を更新する企業が相次ぐ最近の決算発表が示す通り、好調な収益を背景に同4・9%増と大きく伸びている。
外需は同0・3%減と成長率にはマイナスに作用したが、これは旺盛な国内需要によって、輸入が輸出以上に伸びた面もあり、それほど心配する必要はないであろう。物価の影響を反映し生活実感に近い名目GDPは同1・2%増、年率では5・1%増。物価が上昇していることももちろんあるが、景気の回復が徐々に肌身に感じられるようになってきたと言える。
この結果、2013年度の成長率は実質2・3%、名目1・9%。政府見通し(実質2・6%、名目2・5%)は下回ったが、実質GDPの規模は529兆円強と、リーマン・ショック前の07年度(525兆円強)を上回り過去最大になった。
景気が順調に回復を続けていると言えるが、駆け込み需要が大きかっただけに、4~6月期は、その反動減が想定以上に大きくなる可能性があると見た方がいいだろう。甘利明経済財政相はGDP発表後の記者会見で「次第に持ち直す」と述べたが、問題はどのように、どのくらいの期間で持ち直すかである。
安倍晋三首相が年末に、7~9月期の経済状況などを見ながら、15年10月からの消費税率10%への再引き上げの是非を判断するからである。
4~6月期は駆け込み需要の反動減からマイナス成長に陥るのは必至とみられるだけに、それがどの程度になるのか、また世界経済の状況がどう推移するのか。外需は、ウクライナ情勢や南シナ海情勢など不透明要因が少なくない。カギはやはり内需の動向であろう。
東証1部上場企業の13年度決算は総じて2ケタの大幅増益となり、過去最高益を更新する企業が相次いだ。
年度前半の円安・株高、景気の回復、賃上げ、駆け込み需要などが主な要因だが、14年度は反動減の影響が不透明なことや消費者心理の悪化が続いていることもあり、企業は2%の増益予想と慎重である。
経済の好循環形成を
反動減を最小限に抑えるためにも、企業の設備投資を促す成長戦略は極めて重要である。企業としても豊富な内部留保を研究・開発投資や賃上げに用い、経済の好循環の形成、維持に努めるべきである。
(5月18日付社説)