緊急事態拡大 若者よ家で五輪を応援しよう
若い人たちは自宅で東京五輪の応援をし、不要不急の外出を控えてほしい。現在の新型コロナウイルスの急拡大は20代から30代の人たちが中心となっている。若い世代の行動変容が第5波とも言われる状況からピークアウトする鍵となっている。
30代以下に広がる感染
政府は埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を緊急事態宣言の対象に加えることを決めた。北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県には宣言に準じる「まん延防止等重点措置」を適用する。いずれも8月2日から31日までで、東京都と沖縄県に発令中の宣言も31日に延長した。
東京都では1日の新規感染者数が3000人を超え、全国では1万人を超えた。感染急拡大の最大の原因は、インド由来のデルタ株の拡大だ。感染力は従来型の1・5倍あり、東京都の新規感染の7割を占めている。
菅義偉首相は、憂慮すべきこととして「若い世代での感染急拡大」を挙げ、東京では新規感染者の約7割を30代以下が占め、20代に限っては1日1000人を超えていると指摘した。
若い世代の感染拡大は、自粛疲れ、コロナ慣れ、コロナは怖い病気ではないという誤った思い込みが原因とみられる。しかし、デルタ株の拡大で若い世代でも重症化のリスクは高まり、重症化しなかったとしても深刻な後遺症に苦しむケースが報告されている。
若い人たちにとって、夏は本来、外に出たり友達と会ったりして楽しく過ごす季節だ。大学も夏休みに入っている。彼らに不要不急の外出を控えるように言っても難しい面がある。しかし、ちょうどいま東京五輪が開催され、日本人選手のメダルラッシュが続いている。普段であれば自宅にいても退屈するばかりだが、テレビをつければ目を離せない熱戦が続いている。
一部野党やメディアは東京五輪開催と現在の感染急拡大を無理に結び付けようとしている。だが、無観客でパブリックビューイングもない中、五輪の応援は自宅のテレビの前で行うしかない。「五輪はステイホームに一役買っている」(小池百合子東京都知事)のである。このことを若者にもっと強力にアピールすべきである。
菅首相も言うように、高齢者の重症者の著しい減少などワクチン接種の効果は確実に出ている。今月末には65歳以上の高齢者の8割近くが接種を終える見込みだ。首相は「今後は若い世代の接種に注力する」と述べている。若い世代には、職域や大学での接種を加速させたい。そのために、若い人たちのワクチンへの誤解を解いていく働き掛けが重要だ。
正念場を乗り切りたい
英アストラゼネカ製ワクチンの40歳以上への使用が承認され、200万回分が確保されていること、新しい治療薬の承認など好材料も多い。政府分科会の尾身茂会長は、今は危機的な状況に直面しているとしながらも「ワクチン接種も日々行われており、もうしばらく頑張れば、今より経済社会活動が自由にできる見通しが出てきた」と述べた。五輪選手から元気をもらいながら、この正念場を乗り切っていきたい。