ヒトラー政治行うのは中国だ
中国政府は、安倍晋三首相の昨年の靖国神社参拝を機に、国際社会で反日プロパガンダの展開を強めている。日本政府は、それらデマゴーグに逐一反論するようになったが、まだ手ぬるい。もっと問題の本質を突くべきである。
比大統領が対中牽制
先月スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)最終日、パネリストの中国高官が「第2次世界大戦では、日本はアジアのナチスだった。武力紛争が起こるかどうかは、すべて日本次第だ」と日本を批判した。
各国駐在の中国大使も、現地の有力新聞に寄稿したりインタビューに答えたりする形で、反日プロパガンダを行っている。駐仏中国大使は、フィガロ紙への寄稿で「靖国神社は軍国主義の象徴だ」とした上で「ヒトラーの墓に花をたむける人がいると想像してみてほしい」などと非難した。
一方的に防空識別圏を設定するなど、東アジアでの緊張をつくり出す自国の責任を、歴史問題に絡めて転嫁する厚顔無恥な姿勢である。
だが、いかに不当な批判で、まともに受け取る人が少ないとしても、黙っていれば、それを日本が認めたことになる。日本政府が、事なかれ主義を捨て、逐一反論するようになったのは当然だ。
フィガロ紙には、鈴木庸一駐仏大使が寄稿。日本が過去10年間に防衛予算を6%削減する中、中国は国防費を10倍以上に増やし、近隣諸国への挑発行為でアジア地域の緊張を高めていると指摘した。
安倍首相の靖国参拝については「平和への祈りそのものであり、安倍政権の歴史問題の対応や外交方針の変化を示すものではない」と説明。「ありもしない過去の姿を蒸し返そうとし、対話に応じない中国の姿勢は残念だ」と述べた。
この反論は、誤解を解くには十分なものだと言えるが、まだ紳士的過ぎるように思われる。
フィリピンのアキノ大統領が、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、南シナ海の領有権を強硬に主張する中国を第2次大戦前夜、当時のチェコスロバキアのズデーテン地方を併合したヒトラーと重ね合わせて批判した。中国を牽制するには効果的だ。
中国政府がヒトラー政権と重なるのは、領土拡張主義だけではない。ヒトラーがユダヤ人に対して進めた民族浄化と変わらないことを、チベット民族やウイグル民族に行っている。宗教や文化の弾圧による漢族化は“緩慢な民族浄化”以外の何ものでもない。
中国は歴史認識ということを盛んに言う。しかし歴史の教訓を学ぶどころか、ヒトラーの最も忌まわしい政策を現在進行形で行っているのだ。これでは歴史を云々する資格はあるまい。
日本はもっと強く反論を
日本政府は、中国に対話の扉を開いているという意思表示の意味で、踏み込んだ批判は控えていると思われる。だが、それは甘い対応である。逆にもっと強く反論しなければ、中国政府も対話を真剣に考えようとはしない。
(2月8日付社説)