新成人に贈る、混沌と激動の時代切り開け
きょうは成人の日。新型コロナウイルスの感染急増で、東京都など1都3県では緊急事態宣言下で迎えることとなった。成人式の中止やオンライン開催となったところも少なくない。そういう中でも、新成人たちには自覚を新たに未来に向かって力強い一歩を踏み出してほしい。
21世紀生まれの成人
総務省によると、今年の新成人は全部で124万人。前年比で2万人増加したが、総人口に占める割合は0・99%で、11年連続1%を下回った。新成人の数は第2次ベビーブーム世代が成人に達した時に200万人台となったが、1995年以来、減少傾向を続けている。
今年の新成人は2000年4月から2001年3月生まれの人だ。早生まれの人については21世紀生まれの成人ということになる。まさに世紀の変わり目に生まれた人たちである。
特に01年という年は、9月11日に米ニューヨークの貿易センタービルに国際テロ組織アルカイダが飛行機を突入させ、3000人の犠牲者を出す米同時多発テロが起きた。10月にはアフガニスタン戦争が起こって「テロとの戦い」が始まった。
この年に生まれた人たちが、世界史上なかった新型コロナウイルスのパンデミック禍の中で成人式を迎えるというのは、何かの巡り合わせだろうか。混乱、激動はしかし、新しい時代が始まる予兆であり、産みの苦しみでもある。新成人には、混乱や激動の中で、古い世界を変え、新しい秩序を構築していく使命があると思われる。
1981年以降に生まれ2000年以降に成人式を迎えた世代の人たちを「ミレニアル世代」と呼び、インターネットやスマートフォンを使いこなして新しい仕事や生活のスタイルをつくり上げていった。それに対し新成人の世代は、SNSを小さい時からコミュニケーションツールとして利用し、生まれた時からデジタル世界を当たり前のように育ってきた「デジタルネイティブ」世代である。
そういう新成人は、古い世代と発想からして違うものがあるのではないか。テレワークなどの新しい働き方の先頭に立つのもこの世代だ。それらが新時代を切り開く可能性となることを期待したい。
一方、デジタル世界には便利さや効率性、空間的な広がり、開放性はあるものの、あくまでも情報の収集やコミュニケーションのツールである。軍事、政治、経済活動において情報は決定的に重要である。しかし、われわれが住む世界はバーチャル空間とは違った実体の世界であることを忘れたくない。
そういう意味で、これからは情報の世界やバーチャル空間と実体の世界を上手に行き来する術(すべ)を身に付けた新成人が時代をリードしていくのではないか。
家庭営み豊かな人間性を
新成人に望むのは豊かな人間性を育むことだ。よき伴侶を得て家庭を営み、子供を育てることがその最も確実な道であることを知ってほしい。
さらに、自然との直接の触れ合いを大切にしてもらいたい。それによって人間が自然と共に生きるように創られたことを実感するに違いない。