レジ袋有料化 プラごみ削減への第一歩に


 スーパーやコンビニなど全国の小売店でレジ袋の有料化がスタートした。環境に負荷を与えるプラスチックごみの削減は、地球的課題だ。具体的な効果は小さくとも、これを国民意識を高めるきっかけとし、さらに大きな削減への第一歩としたい。

 消費者は前向きに対応

 レジ袋有料化は大手スーパーやドラッグストアで先行していたが、コンビニなどでも義務付けられる。ただ、厚手で繰り返し使えるものや微生物により海洋で分解されるもの、バイオマス素材を25%以上含むものは無料配布が認められる。

 プラごみは海洋に流れ出して紫外線や波の作用で直径5㍉以下の小片(マイクロプラスチック)となり、魚など海洋生物に深刻な影響を及ぼすことが指摘されて急速に関心が高まった。2018年の先進7カ国(G7)首脳会議はプラごみの削減を各国に求める「海洋プラスチック憲章」を採択した。しかし、日本と米国はこの時署名せず、内外の批判を浴びた。

 このままだと50年には、海洋プラごみの量は地球の魚の総量を超すとの予測もある。国際的な関心の高まりの中、19年に大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、新たな汚染を50年までにゼロにすることが採択された。海洋プラごみ問題は海洋国家で漁業大国の日本こそ、どの国よりも積極的に取り組むべき課題である。

 当初、コンビニ業界などは客の反応を心配したが、1枚につき2円~5円を節約し、それが環境にもプラスになるのであればと、マイバッグを持参したり、レジ袋なしで品物だけを受け取ったりするなど、概(おおむ)ね消費者は前向きに対応している。環境問題への関心は多くの国民が共有しており、より積極的な行動に導くには政府や自治体の先導が重要であることを示している。

 もっとも、年間で日本国内で出るプラごみ総量約900万㌧のうち、レジ袋は約2%(約20万㌧)にすぎない。一層の対策を講じなければならないのは、ペットボトル、梱包材、家電、家具などである。

 これらのプラごみのうちリサイクルに回るのは、プラスチック循環利用協会によると23%に留(とど)まっている。リサイクル率を高めるため、政府はより強力な施策を講じる必要がある。企業側には負担となり簡単に進むとは思われないが、力となるのは消費者の意識の高まりだ。この意味でも、消費者が環境問題を身近に捉えるレジ袋有料化は重要な一歩と言える。

 海洋プラごみは一国の問題ではない。日本の海岸には、国内で出たものだけでなく近隣国から漂流してきたプラごみも多く見られる。また、日本のプラごみが他国の海岸に漂着している。今後も国際的な連携・協力を深めていく必要がある。

 周辺住民やボランティアの清掃活動は地道ではあるが、汚染防止への効果は小さくない。こうした活動への支援も必要だ。

 環境に優しい新素材を

 プラスチックはさまざまな製品の製造コストを削減し、人々の生活の利便性を飛躍的に高めた。だが、環境に想像以上の負荷がかかっている。環境に優しい新素材の開発も期待したい。

(サムネイル画像:政府広報オンラインより)